ほんもんぶつりゅうしゅう
2022年09月01日
日蓮聖人のお手紙を通して学ぶ 佛立信者のご信心と人生その49 法縁の尊さ、有難さ
私たちは、さまざまな人と人との縁(えん)の中で生きています。血縁、すなわち親子、夫婦、兄弟、親戚との縁、地縁、すなわち隣人や友人、知人との縁、社縁、商縁、すなわち仕事関係や商売関係を通して生れた縁です。そして私たち佛立信者は「法縁(ほうえん)」という大事な縁を頂いて生きています。
 法縁とはなんでしょうか。私たちを見守り、ご守護下さっているご法さまとのご縁、釈尊や日蓮聖人、日隆聖人、日扇聖人が説き残して下さった尊い教えとのご縁、所属するお寺とのご縁、導いて下さる御導師や所属のお教務さんとのご縁、互いにご参詣、ご奉公を通して語り合い、励ましあえるご信者同士のご縁、これが法縁です。
 日蓮聖人は寂日房という当時のご信者に与えられたお手紙の中で法縁について次のように教え諭しておられます。
「夫(そ)れ人身(にんしん)をうくる事はまれなり。すでにまれなる人身をうけたり。また、あいがたきは仏法、これまたあえり。同じ仏法の中にも法華経の題目にあいたてまつる。結句、題目の行者となれり。まことにまことに過去十万億の諸仏供養の者也。」(佛立宗版高祖御妙判集3-124)
 イタリアの香風寺フィレンツェ別院担当の教務、キィアッフィ良誓(りょうせい)師にはニコロという20代中頃の甥(おい)がいて、彼はフィレンツェ市内のある会計事務所に公認会計士として働いています。この事務所にはクリスティーナという名の20代中頃の女性事務員がいます。クリスティーナは彼女が個人的につながりを持っている人達に、自分が勤める会計事務所にはニコロという優秀な会計士がいるということをさまざまなかたちで発信していました。お陰で二コラの許には次々とオファーが舞い込んでくることになります。
 そんなある日、クリスティーナはニコロとのなにげない会話の中で「私、この頃、仏教に大変関心を持ち出したの。だれか仏教のことを教えてくれる適切な人がいないかしら。」ともらしました。「僕の伯父(おじ)はHBS(本門佛立宗)という仏教の宗派の僧侶で、なんでも教えてくれるよ。」とニコロはクリスティーナと良誓師の仲立ちをし、クリスティーナは佛立宗に入信するに至ります。
 今年6月から7月にかけて私(福岡日雙)はイタリアに赴きましたが、その折、私はキィアッフィ良誓師や地元ご信者方とフィレンツェ郊外にあるクリスティーナの自宅をお助行として訪れました。クリスティーナの住む処は、良誓師が青年時代、キリスト教(カトリック)研究のために2年間通った修道院と目と鼻の先にあったのです。
 キィアッフィ良誓師は元々サイコセラピスト(心理療法士)ですが、キリスト教を研究し、仏教の各宗派についても学んだあと、フィレンツェからローマにやってきて私と出会い、HBS(本門佛立宗)の正統性を確信、教務としての道を歩むことになったのです。
 イタリアの教務さんやご信者も佛立宗のご信心をさせていただくようになったのは、単なる偶然ではなく過去世からの深い縁があり、また商縁、社縁、地縁の延長上に法縁を得ることができたからなのでしょう。