2023年05月11日
5支妙蓮寺 こども食堂の5年間を振り返って
妙蓮寺では、平成30年、高祖ご降誕800年慶賛「教化・法灯相続つづれ織り運動」報恩ご奉公が開始された年、千葉県木更津市請(じょう)西南(ざいみなみ)の地に念願の新本堂を建立させていただき、同年2月16日のお祖師さまお誕生の喜ばしい日に、晴れて新本堂で入佛式をさせていただくことができ、新天地新本堂でのご奉公が開始されました。
同年8月から寺子屋妙蓮寺こども食堂を開始。竹村日愛ご住職念願の地域社会に向けた弘通活動の1つです。きっかけは東日本大震災発生直後から妙蓮寺は岩手県の被災地で支援活動を行ってきました。
支援活動で結ばれたご縁や 絆づくりから学んだことを活かし、新本堂建立地で無縁社会になりつつある地域のお役に立ちたいとの思いから、地域・絆実行委員会を立ち上げ、定期的にお祭りを開催しました。この年の夏祭りには、総勢200名を超える方が参加され、妙蓮寺祭りは毎年楽しみな恒例行事となっています。
第1回目・8月4日のこども食堂は、はりきって100人前のカレーを用意しましたが、来てくれたのは2組のご家族と社会福祉協議会の職員さんだけでした。初めての試みに不安や戸惑いもありましたが、多くの方に来てもらいたいとの思いでポスターを作成し、近隣の小学校へチラシを配布。SNSを利用して情報発信など工夫をしました。すると、回を重ねるごとに来てくれる方が増え、現在は平均130名の方が妙蓮寺のこども食堂に来られます。
こども食堂を通じて、木更津市社会福祉協議会主催の福祉祭りに参加、100万人のクラシックライブとのコラボなど、活動の幅が広がりました。また、こども食堂開催時間内は本堂でご住職がお看経をされています。参加者の中でお願いごとをして一緒にお参りをする家族も増え、少しずつですが御題目に触れていただいています。
近年では、昔ながらの風習や季節ごとの行事が希薄になりつつあるなか、季節の行事を家族で楽しんでもらい親子関係をより良くしてもらいたいとの思いで大晦日には年越し蕎麦、年始にはお餅つき体験、夏には流しそうめんなどのイベントを企画しています。
こども食堂の活動が軌道に乗ってきた令和2年、新型コロナウイルス感染症が流行し、妙蓮寺でも大きな影響を受けてしまいました。
本堂への入室制限、御講やお助行も従来のようにはできなくなってしまいました。毎年恒例になっていたお祭りも中止になり活動の制限を余儀なくされてしまいました。その渦中でも、こども食堂を楽しみにしてくれているこども達のことを思い、お持ち帰りのお弁当に変更して開催を継続してきました。
コロナ禍の困難の最中、令和4年には開催から5年を迎えることができ、不安や戸惑い困難なこともありましたが、御宝前の御加護を賜り無事5年間継続させていただくことができました。また、有難いことにこの年の10月には勿体なくも妙蓮寺初めてとなる講有巡教を受けさせていただける果報をいただきました。
至らないながらも講有巡教を精一杯ご奉公させていただき安堵していた12月、突然フジテレビで放送されている「坂上どうぶつ王国」のスタッフから連絡がありました。用件は、タレントの坂上忍さんが運営している動物保護施設でこども食堂を行いたいので参考として見学させていただきたいと取材の依頼でした。
妙蓮寺のこども食堂は、毎月第1土曜日に開催していたので通常の年内の開催は終了していましたが、年末大晦日は毎年恒例となっている年越しそばでのこども食堂開催を予定していましたので、こちらの方に見学に来ていただくことになりました。
当日は夕方5時からの開催でしたが、坂上忍さんは来寺するなり「何でもお手伝いします」と、とてもありがたいお言葉をいただき、受付係やこども食堂ネットワークからの支給品の配布など、開始から終了までずっとお手伝いをしてくださいました。
また、妙蓮寺では、年末のこども食堂に来寺されたご家族が本堂で思いおもいの願いを、ご祈願用紙に記入してご住職に言上していただいています。この日も多くのご家族が本堂で御題目を唱えてご祈願されました。
坂上さんも、最後にご祈願用紙に記入し本堂に座りご祈願をされ、本堂で記念写真を撮って無事に終了いたしました。
今回、こども食堂開始から5年が経過し、令和4年の締め括りの大晦日にこの様な機会をいただけたことは、こども食堂スタッフにとって、とても大きな励ましになる出来事でした。夢のような出来事に随喜と興奮が醒めやまぬまま年越しとなりました。
開催当初は来寺者が2〜3組程度だったこども食堂も、5年が経過した現在では130名の方が来寺され、顔見知りの方が増えています。こども食堂やお祭りを通じて、来寺される方の悩みをご住職やお教務さんが聞き、実際にお教化に繋がった方もいます。
お寺とのご縁を深めて、悩み相談を通じて仏教の教え、考えを伝え、教化に繋がり、救われる方が1人でも多くできることを心より願っています。
これからもお祖師さまご降誕の地をいただくお寺として、お祖師さまへの報恩感謝、御本意に叶うご奉公を目指し、地域の人達のお役に立ち、社会福祉の活動を通じて人助けに繋がるご弘通ご奉公に気張らせていただけるよう精進してまいります。