ほんもんぶつりゅうしゅう
2015年08月01日
終戦70年戦没者慰霊 並びに 平和祈念法要を厳修
前の第二次世界大戦終結から本年は70年の節目を迎え、宗門では去る7月7日、本山宥清寺に於いて「終戦70年戦没者慰霊 並びに 平和祈念法要」を、講有・山内日開上人導師のもとに厳修。梶本日裔・小山日誠両講尊上人をはじめ、宗務総局員、各支庁長、宗会教講議員等が参列する中、世界恒久平和と不戦の誓い、そのための寂光浄土の実現、仏国土建設にむけての御弘通御奉公成就への決意を新たにした。

当日は午後2時より、木村日覚宗務総長が
「日本は昭和16年に始まる前の大戦において、急激に戦線を拡大、国内外に夥(おびただ)しい戦死者及び民間の犠牲者を出し、痛ましい被害を残しました。戦時下、国家の強大な圧力のもと、あらゆる教団に対して大麻奉戴、神社参拝などが強制され、宗門は国策に追従いたしました。昭和20年、戦況は頓(とみ)に不利となり、やがて空襲によりことごとく灰燼(かいじん)と帰し、原爆投下後、昭和20年8月15日、ついに終戦を迎えました。
 昭和22年、一宗独立。宗制が制定され、わが宗はその中に世界恒久平和確立を祈願する旨を明確に謳いました。
 終戦より70年間、佛立第11世講有・日颯上人等、宗内の先達教講は一貫して戦争放棄を支持、浄佛国土実現を目指してまいりました。殊に平成6年の戦没者50回忌法要の砌、宗門は戦争協力を懺悔して永久不戦の誓いを表明。その後、本山境内に佛立満蒙開拓団の慰霊碑を建立いたしました。戦前、戦中、戦後の、この歴史と事実の重みをお互いは真摯に受けとめ、今こそ平和への思いを次世代へと引き継がなくてはなりません。
 しかし、世界の状況に目を転ずれば、政治や民族、宗教の違いによる武力紛争やテロは未だ絶えず、常に核兵器の脅威に曝されています。また、昨年より戦争に対する日本政府の姿勢に大きな変化が現れ、法律も改変されつつあり、今日、最も憂慮されるところです。
 現在、私たちが享受している豊かさや繁栄は先人の大きな犠牲の上に得られたことを心に刻み、我が国が二度と戦争への道を歩まぬよう、平和を脅かす動きに宗門は警鐘を鳴らすことが必要です。そして、平和への強い決意を新たにすることこそ、未来のため、子孫のため、今を生きる全宗門人が果たさなければならない責務です。
 生きとし生ける者が互いに慈しみ合い、共に栄えていく仏国土建設をめざし、一天四海皆帰妙法が現実のものとなるよう、世界中に、法界に遍く口唱の音声を響き渡らせることこそ、数多の犠牲者の諸精霊に真の安らぎをもたらす道と信じます。
 ここに宗門は世界の恒久平和に限りなく貢献し、佛立開花運動を通じて全宗門人が上行所伝の御題目を唱え弘めることに全力を尽くすことを本山宥清寺御宝前に誓います。」
と式文を言上され、式典が開始。

講有・山内日開上人より
「終戦70年戦没者慰霊並びに世界平和祈念」の言上をいただき、本堂中央に荘厳された祭壇にお焼香を捧げられた後、次々と参列教講が進み出て、祭壇前と外陣に設けられた焼香台で、戦没者の慰霊と世界の平和を祈念してお焼香を捧げた。

一座お看経の後、講有上人より諭告を賜り、無始已来の後、一同は講堂2階法悦殿へ移動。午後3時10分から講尊・小山日誠上人の「有難い平和」と題しての記念講演を拝聴し、午後4時30分、無事に法要を終了した。


【講有上人 諭告】

終戦70年戦没者慰霊 並びに 平和祈念法要に臨み、所懐の一端を申し述べます。
前の世界大戦の終結より70年の歳月が流れました。今、改めて犠牲となられた内外の多くの方々とそのご遺族の心に思いを馳せるとき、湧き上がる悲しみを禁じ得ません。
敗戦後、焼け野原から幾多の困難を乗りこえられた先人のたゆみない努力により今日の平和があります。そこに至る苦難に満ちた往時を偲ぶとき、感慨は一入です。
戦後の日本があの窮地より立ち直り、復興を果たせたのは、戦争を放棄し平和国家として歩んできた賜です。前の大戦における悲惨な体験を通じ、宗門は歴代講有、先師上人、ご信者方が平和を心底より願い、今日まで歩んで参りました。
しかし、その間にも世界では、民族、国家間の武力紛争が絶えず今日に至っておりますのは、大変悲しいことです。戦後70年が経過し、戦中戦後を実体験した世代が減りゆく中、日本では繁栄を享受しながら平和の有難さに狎れ、社会の絆や個人の責任が希薄となっています。
今こそ過去の戦争による教訓を深く胸に刻み、今を生きる世代、そして明日を生きる世代に悲惨な戦争体験を風化させることなく伝えていくことが、佛立教講の一つの使命と考えます。
今日、本宗が海外においてもご弘通発展しているのは、世界で数多の人々が人類の危機と戦争の不安を感じ、人を敬い命を大切にする真実の教えに救いを求めているからだと申せます。
高祖大士御妙判には
「不軽菩薩の人を敬ひしはいかなる事ぞ。教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ。」
(崇峻天皇御書・昭定1397頁)
とお示しです。
不軽菩薩は、いかなる仕打ちに遭っても甘んじて受け、非暴力を貫き、敵対する人まで憐れみ救わんとする慈悲の精神を発揮されました。今こそ世界中の人びとが不軽菩薩の精神を体得できるよう、お互いは佛種子・妙法の御題目を世界にお弘めしなくてはなりません。 
そして、宗門人が戦争を憎み、戦争に反対し、争いのない真の平和な国「寂光浄土」の実現を目指すことが、高祖大士の御意に叶う報恩のご奉公となるのです。この崇高な理念のもとに全宗門人が異体同心のもと、挙宗体制でご弘通を推進されることを念願して諭告といたします。

御教歌に
いよゝ猶つたなくならん人の世を 漏さずすくふ妙法の五字

平成27年7月7日
本門佛立宗第二十五世講有 日開