ほんもんぶつりゅうしゅう
2023年09月01日
「日本人物故者慰霊祭」と本門佛立宗との関わりについて③
 当宗が慰霊法要をお勤めさせていただくことには、大使館、領事館の板垣大使、植田総領事も大賛成くださり、植田総領事からは「慰霊法要は日僑協会が主催だからその関係者にも会うように」とのご助言もいただきました。
日僑協会理事長・浜崎広夫氏にその旨をお伝えすると、氏も大いに喜んでくださり「金曜会(台北に進出している日本企業代表者の親睦機関・当時147社)」での披露と協力を求め、機関誌「さんご」にも行事の宣伝をしてくださる手配をいただくことができました。
 果たしてこの年(昭和45年)宗門による第1回目の慰霊祭が執行されたのです。
こうして本門佛立宗がその年のうちに、慰霊法要を執行させていただくことが実現できたのは、日本大使館、領事館はじめ日僑協会のご指導ご協力はもとより、これまで10年に亘り遺骨安置所を管理維持いただき、慰霊祭を執行いただいた台中寶覚禅寺の御住職・林錦東師のご理解・ご配慮あってのことです。
そしてこの年から、昭和47年を除き、現在まで(新型コロナウイルス感染拡大によって令和2年・3年を除く)この慰霊法要をお勤めさせていただいております。 
 この間、南部地区では覆(ふつ)鼎(てい)金(きん)公(こう)墓(ぼ)の再開発のため、民国106年・平成29年に納骨するところの日本人物故者舎利を鳥松地區懐恩寶塔の厨子内に再葬納骨をすることになりました。翌年からは、懐恩寶塔にて慰霊法要を執行いたしております。
 また民国108年・令和元年には「台湾で最も尊敬される日本人」として知られる八田與一氏の慰霊法要を、烏山頭ダムにおいて、宗門の最高指導者、講有大僧正・高須日良上人のご唱導をいただいて、我が宗門として初めて執行させていただきました。
 また民国103年・平成26年には念願であったバシー海峡を訪れ、妙法口唱によるご回向をさせていただくこともできました。バシー海峡は戦時下、「輸送船の墓場」と恐れられ、少なくとも10万、最大26万といわれる多くの犠牲者が眠る海峡です。
バシー海峡訪問が実現できたことは、日本台湾交流協会高雄支部、そして日本人会高雄事務所のご協力がいただけたことによるものです。当日は交流協会の公用車をお手配いただき、坂田領事、陳書記も同行してくださいました。
 このように長きに亘って、日本台湾交流協会、台湾日本人会、台湾協会等、関係各所のご尽力のお陰を以て、この慰霊法要も昨年(令和4年)61回を数えるまで続けることができました。
 願わくはこの慰霊法要執行の功徳によって、日本人物故者の諸精霊に安寧がもたらされ、以て日本と台湾の益々の友好と、世界の平和が築かれますことを衷心よりご祈念申し上げる次第です。