ほんもんぶつりゅうしゅう
2015年10月15日
数々のお計らいでガンを克服 —手術待ちの期間でかえって体調も整う—
第2支庁 大阪・安國寺住職 蔭山淳和師
 
平成27年3月にいただきました「甲状腺乳頭癌」の体験談を述べさせていただきます。
 
 
〔甲状腺について〕
 はじめに「甲状腺」とは、のどの部分にあり気管を前面から囲むように存在し、その役割は、身体のはたらきを正常に保つために必要なホルモンを分泌する機能を担うのが甲状腺です。甲状腺の病気といえば高血圧や糖尿病といった生活習慣病と比較して、患者数はかなり少ないと考えられていますが、実際はおよそ500人の患者さんがいると推定されています。甲状腺の病気の症状はイライラして落ち着かない、動悸や息切れ、喉が渇く、のぼせやすい、気分が落ち込む、身体がむくむ等が、この病気の症状です。その症状の現れ方が、先に示したように多彩であるために、ほかの病気と間違えられ診断が下されてしまうことも少なくないようです。
 
甲状腺の病気の種類は
 
1)甲状腺の機能の異常によるもの(バセドウ病)
2)甲状腺の炎症によるもの(橋本病) 
3)甲状腺の腫大によるもの(甲状腺ガン)
 
の三つに分けられます。
 
〔私の甲状腺ガンの経緯〕
 
 さて、去る平成26年11月頃、のどの一部が腫れていることに気付き、掛り付けの医者で診てもらいましたら「甲状腺ガン」かも知れないとのこと。早速、堺市立病院でエコーを当てて検査することになりました。先生の言うには「甲状腺ガンは進行が遅く、他には転移しないガンですから手術すれば問題ないでしょう」と慰めてくれました。エコー検査の結果は、「腫瘍(ガン)ですね。大きいので全摘しなければならないでしょう」と言われました。どうせ手術をするのなら日本全国から患者さんが集まる、という兵庫県神戸の甲状腺専門病院の『隈(くま)病院』を紹介してもらい、11月28日に診察を受けて調べていただきましたら、やはりその結果は「甲状腺乳頭ガン」との診断でした。先生が「手術の予定を入れますが、今からですと来年の3月に。もし急ぐようであれば別の病院を紹介します」といわれ驚きました。さすが全国から患者さんが集まる専門病院だけあって、手術待ちの患者さんで予定が一杯とのこと。そこで先生の予定に合わし、翌年(平成27年)3月15日に入院し17日に手術、22日に退院と予定を決めていただきました。
 
 入院するまでの間、手術のためのさまざまな検査が始まりました。血液検査、造影CT検査、麻酔、肺活量、エコー、内視鏡、心電図等。ところが検査するうちに、糖尿(ヘモグロビン)の数値が高いことが判明したのです。糖尿の数値が高いと手術ができません。そこで、数値を下げるため内科の診断を受け、「食事から改善し1ヵ月で5キロ痩せるように」との指導がありました。以後、家内がカロリーを考えた食事の献立を毎日頑張ってくれたお陰で、糖尿の数値が下がり、先生からは「このまま食事に注意をし、入院までこの数値を維持して下さい」と、手術OKの返事がいただけました。しかし、手術前の診察で先生が「手術の際にガンが気管に引っ掛かっているようであれば、気管に穴を開けるかもしれない。そうすれば声が出なくなり、入院も3週間ほど伸びます。これは手術をして開いて診なければ分かりません」というのです。
 
 平成27年3月17日手術当日。もちろん、この日までの間、私自身信心改良、そしてお看経とお供水におすがりをしてきました。また「御導師の病気は私たちの罪障」と、手術1週間前からお寺挙げての懸命なるお助行を、そして当日は7時間にわたり、教務会・事務局・ご信者方のお助行を頂戴いたしました。そのお陰で私は大きなご利益をいただいたのです。
 
 
〔数々のお計らい〕
 
 今回、本当に数々のお計らいをいただきました。なかなか判りにくいといわれる「甲状腺ガン」を自分で発見させていただけたこと。手術待ちの患者さんで一杯のため4ヵ月先の手術となったのですが、一時糖尿で手術が危ぶまれましたが、逆にこの間に手術できる体調を整える(糖尿の数値を下げる)期間となったこと。「ガン」を全摘でき、気管に穴を開けることなく術後に声が出て、おまけに声が良くなったこと。傷口(12センチ程)が痛くないこと。疲れを感じず、退院後すぐにご奉公させていただいていること。これらのお計らいは御法様のお陰はもちろん、寺内挙げてのお助行のお陰だと思っております。改めて御題目の有難いことを、我が身に感得させていただきました。心よりお礼を申し上げます。今後益々、信心改良とご弘通ご奉公、そして、「佛立開導日扇聖人ご生誕200年」慶讃ご奉公に精進させていただきます。
 
合掌