2024-03-08 21:10
令和6年3月 誌上法門
住職:日堅
御教歌
信心は 学問よりは むつかしい
ちゑを捨るの 勇気なければ
大 意
ご信心に励むことと、凡夫の欲心を捨てることと、どちらがむつかしいでしょう。この問いかけのポイントは私たちの決定心の有無にありまして、我が身仏果成就のためには勇気をもって凡夫の知恵を捨てることが肝心とお示しの御教歌です。
◆捨てる勇気・つかむ信心◆
さて、ご信心のむつかしさは凡夫の知恵を捨てるところにあります。なぜなら仏道修行においては、御本尊に対しての純粋な帰依心が大事であるからです。
ところが凡夫には自我(我欲)があり、せっかく今まで苦労して得た人生経験を反故(ほご)にされるようで、なかなか捨てられないというジレンマがあるので、自我はそう簡単には捨てられません。
開導聖人が「捨てよ」と仰っておられるのは、「将来をシッカリ見よ」とお教えくださっておられると心得ましょう。
佛立開導日扇聖人御指南
今身より佛身に至る迄と御題目を持ち奉れる日より、生死の二法は覚らざれども、さとりたるものとなりたるは御経力の故也。 信者思念して生死を恐るゝことなかれ、生死もとより楽しみ也と歓喜して、日夜怠りなく如説修行の御奉公に励むべし。
◆生死の二法のとらえ方◆
「生きること」と「死ぬこと」はどちらも大事ではありますが、お互いの人生において信者は命に限りあることを悟り、この短い一生を菩提のために使うことこそもっとも有意義な人生の使い方である、と教えていただきます。
◆御経力は苦を楽に変える◆
仏力=医者が病気を治そうとする
経力=薬を処方する
信力=患者が薬を飲む
◎薬を飲まない
◎云うことを聞かない
このように、自分が良くなるためには自分の努力だけでは叶わず、仏様やお祖師さまに従い、修行に励むところに正しい道が見えてきます。これが「知恵を捨てる」ということです。
御題目を持つ人は最良の生死を決めることができます。これこそ御経力のおかげとよろこばせていただき、一層ご信心口唱に励むことが肝心とお示しの御教歌です。
合 掌