2014-11-20 20:46
速成山話 1
御教歌
世の人ににくまるゝとも法華経に
かあいがられて現世安穏
開導聖人お示しの御教歌です。
この御教歌は、信者は世の人の言動に惑わされること無く、
たとえ何を言われようとも、教えのままに御信心を貫くことが肝心で、
そう努める信者には、必ず現世安穏の御利益がいただけるとお示しです。
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さて、山形県の米沢盆地の入口に「馬場平」というところがあります。その一角に古いお墓があって、
お墓の主は「大野九郎兵衛」と言います。「忠臣蔵」好きの方ならば、名前くらいは知っていると思います。
大野九郎兵衛といえば、「忠臣蔵」では赤穂藩次席家老(筆頭家老は有名な大石蔵之助です)でありながら、
城明け渡しの際に命が惜しくなり、公金を横領し逐電(逃亡)した悪者という事になっています。
しかし、何でこのような場所にお墓があるのでしょうか?還暦をとうに過ぎた老人が、
余生を送るにはあまりにも裏淋しく、不適と言わざる負えません。
しかし、よく考えて見れば、そこは宿敵「吉良上野介」の息子が治める米沢藩の入口です。
万が一にも、江戸で討ち損じた場合、この道を上野介が逃げて来るに違ない・・・。
或いは危険を察知した米沢藩が、事前に匿い、取り込むかもしれない。
米沢藩に逃げ込まれたら最後、永久に敵討ちは不可能でしょう。それだけは絶対に阻止しなければ・・・。
と、同志16人と語らい、最後の砦としたようなのです。(いわば待ち伏せです)
その証拠に、本来ならば幕府に無条件で取られてしまう藩の公金ですが、横領して前もって確保し、
内々浪士の生活費・活動費として、平等に分配していた、とも言われているのです。
「悲願」達成のためには人に何を言われても、例え稀代の悪人とののしられようとも結構。
との心意気だったのでしょう。
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開導聖人の御指南に
「世人は識者を貴んで信者を賤しむ。未来は慥かに申すに及ばず。さればわが愚を嘆くことなかれ。
信心の起らぬ人ぞ哀れなれ」(百座法門・扇全12巻210頁)
せっかく御利益のいただける御信心に遭いながら、人の言葉に惑わされて
功徳の積みどころを逃さぬようにと、決定の信心前の大切をお教えです。