隆宣寺

世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない。自我の意識は個人から集団・社会・宇宙と次第に進化する。この方向は古い聖者の踏み、また教えた道ではないか。新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある。正しく強く生きるとは、銀河系を自らの中に意識して、これに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索ねよう。求道すでに道である。

『農民芸術概論綱要』宮沢賢治より抜粋

上記の文章は、法華経信仰者であった宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』から引用したものです。法華経が目指す世界観と、その世界を実現するために私達が心得るべきことが書かれてあります。自分のことしか考えられない自分から、所属している組織・集団のことが考えられる自分、地域や国のことを考えられる自分、そして世界全体のことを考えられる自分に進化していくべき。あらゆる衝突と悲劇は、とどのつまり、利己と利己とのぶつかり合いによって生み出されるからです。本当の正しさや強さは「利己」の中には無く、世界全体の幸せを考える「利他」の中に有ります。これらが机上の空論とならないように、私達は信仰を通じて実際に行動していかないといけないのです。