ほんもんぶつりゅうしゅう
2021年05月01日
佛立人のコロナ禍対策 アフターコロナを見据えて②
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、佛立宗として「withコロナ、afterコロナ」をどう捉えるべきか。どんな対応が求められるのか。先月に続き、毎月『新 佛立入門~日蓮大士ご降誕800年記念シリーズ』を連載いただいていると同時に、世界各国の佛立宗教講に対し「佛立人としてのコロナ禍克服のあり方」を発信し続けている神戸・香風寺の福岡日雙師に忌憚のない意見を述べていただいた。

 常に前向きに

 編集長 ただ世間に流されて控えめ控えめとなるとダメですね。やはり我々はご弘通集団であると、ここは譲れないところですね。

 福岡師 何を軸にして示して行くか、それはある程度は柔軟性を持たなければいけません。でも軸としてはこうなんだと発信していかないと。
 私も香風寺を設立してから30年になりますけれど、前は木造の大正時代の建物でした。阪神大震災で半壊になってしまって、それでもうアカンということになって、新本堂を建てようといことになって予算が1億2千万円。
 そこで、銀行員やっているご信者や会計士やっているご信者がおられて、全部計算してくれて銀行でお金借りたら利子返すだけで15年かかり利子に追われますと。つまり本堂建立は無理という結論になった。それで、そこを乗り越えるためにお計らいをいただくんだと、私は「攻めの建立対策」を講じました。お陰で3年の間に銀行からの借入金は返済することができ、2年で本堂は建ちました。常識で考えたら無理やとなりますけど、もうどうしようもない時には、あまり常識一方で考えたらアカンね。だから今回も用心はキッチリせんとアカンけど、ある程度は教務さんは強気でいかないと、それが教務さんのご奉公でしょうね。
 ある時期、お祖師さま(日蓮聖人)はご自身を「天台沙門」と仰せになっていたでしょう。立教開宗されて佐渡ご流罪までは。その頃、ご弘通の現場というと天台宗のお寺だったんです。自身のお寺は初期にはありませんでした。ご弘通の道場として天台宗のお寺を借りておられた。
 そして、お祖師さまはそこの住職は改宗しないけども、そこに居住する天台宗の僧侶や信者を教化、改宗していかれた。六老僧の何人かも元は天台宗の僧侶ですね。
 内に籠もってしまった形で安全を考えるだけでは、佛立宗では無いと思いますね。攻めのご弘通というか、攻めの対応とかね。これはどこかで持っていないとダメだと思いますね。
 私もスリランカで布教活動を始めた頃は、地元のスリランカ仏教のお寺の一室を借りて、御本尊をおまつりし御講も行っていました。そしたら地元の僧が、自分は改宗できないが地元の人たちに福岡師のお話を聞くようにと呼びかけてくれるようになりましたね。

 編集長 攻めの対応をせずに世間のやり方だけではダメなんですね。

 福岡師 佛立のやり方では無くなってしまいますね。リスクはどんな場合でもあります。リスク無しということはありませんからね。
 一戸建てで広い部屋がある所では御講もいただけるけど、マンションやアパート住いは難しい。本人は自宅で御講させていただきたいけど、多くの人が来るからと躊躇されているんやったら、これは考慮しないといけませんね。そんなご信者さんは、止むを得ずお寺をお借りしてさせていただいているという思いを持っていただいたら良いですけどね。
 それぞれのお宅でも1年に1回は大掃除をするでしょ。罪障も1年経ったら一杯溜まるんです。だから年に1度は御講を勤めて大掃除させていただきなさい。1年に1回は自宅で御講を勤めるようお勧めしています。
 そんなことが先の「往詣の功徳」や「菩薩囲繞(いにょう)の功徳」に繋がり、そして参詣低下しないようにとの意識となるんです。

 今こそ語り合うこと

 編集長 固定観念にとらわれない対応も必要ですね。
 
 福岡師 お祖師さまの御妙判に「月水御書」という御書がありますが、「委細に経論を勘(かんが)え見るに、仏法の中に随方毗(ずいほうび)尼(に)と申す戒の法門はこれに当れり。この戒の心は、いとう事かけざる事をば、少少仏教にたがうとも、その国の風俗に違うべからざるよし、仏一つの戒を説きたまえり」
(月水御書・佛立宗版御妙判集第3巻428頁)とあります。
 随方毗尼とは、その国、その国の文化伝統風習を尊重し随(したが)うということ。つまり、その所どころや時どきに合わせたご弘通のあり方を考えなさいと、この「月水御書」の中で仰せになっているんです。
 お祖師さまご自身も臨機応変(随方毗尼)な対応をされたんですからね。天台宗のお坊さんを感化し、そこの住職と親しくなり場所(お寺)を借り、弟子やご信者を増やしていく。だからご弘通のベースというのは、そんな形から始まってご弘通が弘まっていく。これは今の時代にも工夫して、今の時代に合った「随方毗尼」というのは必要じゃないですかね。

 編集長 「随方毗尼」ですか。まさにアフターコロナの対応・対策のポイントとなりますね。

 福岡師 私なりにアフターコロナを考えていますが、他のお寺ではどういう対応をされているのか聞かせてもらいたいですね。そういうことを話題にして布教区の例会などで話し合ってもらったらいいですね。住職や局長が参加しますから。こういう時だからお互い顔を合せてこそ話し合わなければ。お互いどうしてるんですかとね。もう少し情報を提供しあったりして、そうすればウチも真似させて貰おうと。こういう時だからこそ、十分に3密の注意をしながら、もっと会合の場を持たないと、と思います。