隆宣寺

『ドラえもん』の登場人物・剛田武は「ジャイアン」という呼び名で皆から親しまれています。そんな彼を象徴している有名なセリフが「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」です。実に自分勝手で、利己的な発想から生まれたセリフで、とても容認できる行いではありません。しかし、最近ふと思ったのです…、もしジャイアンが悩み苦しんでいるのび太の元に近づいて「お前の悩みは俺の悩み、だから一人で悩むなよ」と言ったなら、実に素晴らしいことだな…と。

仏様は「生きとし生けるものは全て私の子供である」と説かれ「誰ひとり他人じゃない」と明かされます。そして「我が子の苦しみは、私の苦しみ」とも説かれていて「あなたは一人きりじゃない」と仰るのです。ええことも悪いことも、楽しいことも苦しいことも、どちらも分かち合ってこそ本当の慈悲、思いやり。よって、一人で悩みを抱え苦しむのは違うし、それを他人事にしてしまうのも違うということになります。「お前の悩みは俺の悩み、だから一人で悩むなよ」お互いに慈悲のある生き方を心がけたいものですね。