ほんもんぶつりゅうしゅう
2019年04月01日
お役受け激動の1年を振り返る お看経と御法門聴聞で人生は好転する! 第9支庁 妙現寺薫化会会長 岡田直之
ありがとうございます。
一昨年12月より前会長の山下繁子さんから薫化会会長のお役を引き継がせていただき、長かった様で短い、しかし数年分が凝縮された様な1年を振り返りまして、ご信心への想いを皆様にご披露させていただきたく、ペンを執らせていただく機会を御導師様よりいただくことができました。
 実は数年前から山下前会長より、薫化会次期会長への打診を受けておりましたが、私はビジネス大好き人間で、小さいながら会社を経営している為、なかなかご奉公をお受けする決断に至りませんでした。
このような大役をお受けするに当たり、まず第一に佛立宗の基本である朝参詣へのお参りと、他の方へのご奉公を優先する菩薩行が必須の条件だと考えておりましたが、毎晩日付をまたいで自宅での仕事を抱え、2週間に1度程度の朝参詣が精一杯の状態でした。
しかしながら数年前より、忙しい忙しいと言っている割に全てに余裕が無い自分が非常に恥ずかしく感じるようになってきておりまして、ふと我に返り周りを見渡すと、仕事にしても、私生活にしても、心と時間に余裕を持って人生を歩んでおられる方達の方が、むしろ生活や人生、経済的にも余裕があるのではないかと感じるようになってきておりました。私自身もそう言った方達と同じように、心に余裕を持てる自分でいたい、人生であるべきだ、と強く考えるようになってきておりました。
 そんな折、一昨年3月に父が亡くなりました。父とは事情があり、私が24歳の夏に会ったのを最後に、祖父の葬儀に出席した41歳まで17年間、1度も連絡を取ることがありませんでした。
その後、父が亡くなるまで5年足らずの月日でしたが、私自身も紆余曲折を経て、まがりなりにも事業を立ち上げ、子供にも恵まれ、家内や母、叔母、東部組・平田さん達のお力をお借りし、会社経営もなんとか軌道に乗っていたこともあり、単なる親子の関係を超越した内容の濃い父との日々を過ごさせていただくことができました。
 しかしながら父の亡くなる前後に不思議としか言いようの無い事象が数々現れ、自分自身の力でどうしようも無い力が働いているのではないかと感じるようになってきていました。そこで父の葬儀後すぐに、自らの24歳以降の人生の年表を記憶を頼りに作成しましたところ、見事としか言いようのない流れがあることが分かりました。
人によればそれはこじつけだと見ることもできるのだと思いますが、しかし10個ばかりある大きな出来事(誰かの死や生。仕事の決断等)のどこか一つ違っていてもこの流れはできていないことは確かなのです。また、この流れには自分に関わる人達のご信心の強さが関係していると思うようになってきました。
そんな折、どの場面だったかは記憶しておりませんが、大変な御法門に出会うことができました。お看経はアクセル、御法門はハンドルの役目をしていると言われるのです。自分自身やその周りの方達の流れを考えてみても、お看経をよくあげられる方は確かにその人の思うような流れができている。
しかしながら、それが必ずしも最良の方向に行っているとは限らない。前進するのはお看経だけれども、でも本当に人として家族を含めた方達を幸せな方向に導くのは、やはり御法門・お寺参詣を核として、正しい教えを理解する必要があるのではないか。これがその時に感じた確証に近い思いでした。
 そこで思い切って、まずご信心を自分自身の生活の柱に据え直し、朝参詣や薫化会、ネットを始めとした新しいご奉公を第一に。それに合わせて会社の経営・仕事をもう一度再構築してみましたところ、忙しいのは確かですが、心に余裕を持った生活を続けることができるようになり、次々と困難だと思っていたことが解決され、思いもよらぬ良いお話やお金と人の流れ、今まで固執していた余計なものからの開放など、まさに定業能転と言うべき展開を目の当たりにさせていただくことができました。
そこで確証を持って一昨年、薫化会会長のお役をお引き受けした次第です。また学南組組長の桐山さんの本当に楽しそうに毎朝ご奉公される姿に心打たれました。
 過ぎてしまえば簡単な話ですが、ここに至るまでは心に相当な葛藤と壁がありました。仕事が忙しく、頭も体も大パニック。目の前にやることはいくらでも山のようにある。そんな状態で、それを片付ける前にまず、お寺参詣に行き、仕事中にも薫化会の行事やネットの段取りなどをするのですから、同じような境遇の方には、この精神状態が容易に想像できるかと思います。しかし不思議と全て上手く回っていくのです。
 お寺では「理屈でご信心を考えるのではない」とは教えられますが、しかし私達の世代、まだまだ下の世代の方達は、ある程度の理屈が通らないと動けませんよね。私もその一人です。
そこで色々と調べたり考えてみるのですが、皆様はパレートの法則というのをご存知でしょうか。別名80対20の法則、8対2の法則などとも言われています。例えば、世の中の富の8割は2割の人が持っている、売り上げの8割は2割の商品から生み出される、など、イタリアの経済学者パレートが100年も前に提唱した経済理論です。
忙しい忙しいと、やる事は山のようにあると思っていた私ですが、ご信心を核に据えた生活を志したところ、実はこの法則通り、8割くらいは特にやらなくても良かったのだと思い知らされました。2割とはいきませんが、これまでの3~4割くらいの力と時間で、7割くらいを捨ててみますと、逆に会社の売り上げと利益が上がるのです。
 さらに、一昨年10月のノーベル経済学賞も、行動経済学の権威セイラー教授が受賞され、人間は論理的に行動しない、経済も学問・理論だけでは成り立たないということが大きく認められた記念すべき年でもありました。連日のようにAIの話題が世間を騒がせています。人間が理論的に考え出してきた答えを一瞬にしてAIがはじき出していく時代です。人は人でしかできない答えを出していくことが、これからの世の中を生きていく上で最も重要な時代になるのだと思います。
 難しい理屈は後回しにし、まずはご信心を人生、生活の基本にすること、お看経で前に進み、御法門(お寺参詣)で舵を切って、効率良く前に進むことが、私たちが悩んでいる時代の色々な諸問題に対する答えになるのだと思います。仕事上のトラブル(例えばクレーム等)でもその時は大変ですが、後から考えれば良い勉強、改良点になり、後の飛躍のきっかけとなることもありますし、トラブルで知り合いと縁が無くなったとしても、それが違う繋がりを生むこともあります。
 ご信心をしていて「なんだ、これは?」とは私を含め、皆様もよく思われることかと思います。ご承知の通り、昨年7月の未曾有の大水害で、東区の我が家も床上65センチの浸水被害を受けました。
ちょうど金曜日の夜でしたが、翌土曜日に寺内の重要な会議を控え、特に青少年の一座の大事なプレゼンの資料を作成し、眠りについて1時間程度で家内に起こされ、家の前の路を見た時にはすでに川からの濁流がもの凄い勢いで流れ込み、車が半分浸かっているような状態でした。
まだ自宅への浸水には数10センチ程度ありましたので、大事なものだけを2階に上げ、母と共にお看経を始めました。逃げることもできない、逃げてもどうしようも無いような状態に陥ると、お看経しか無い。これ自体は非常にありがたいことです。しかし1時間もしない間にお看経をしているその場所の畳が浮き出し、浸水が始まった為、やむなく火を消し一家共々2階に非難しました。
この時、私の心に最初「ご信心をしていて、それも大変なご奉公をしていてこれは何だ? 1週間前に2泊3日の本山奉仕から帰って来たばかりだよ」等との思いがよぎったことも確かです。しかしながら30分後には「ちょっと待てよ。これは何か良い方向に行くきっかけかもしれない。よし、ここは流れに身を任せてみよう」との強い思いが沸き起こってきました。
早く家を修理した方が良いならそんな流れ、ゆっくりした方が良いならそんな流れ、その時には保険に入っているかも、はっきりとは不明でしたので一銭も出ない可能性があるなからそんな流れ、全ての流れをお作りいただけるはずです。毎日精一杯ご奉公させていただいているのですから、ここは御法様を信じるしかありません。
 それから後は慌てず、ゆっくりと流れに身を任せ、時に御導師やご信者様などへ近況報告等をさせていただきますが、大きなお寺の行事も続いた為、ご近所さんが慌てて修復に入られているところ、多少の焦りはありましたが、我が家はドンと構えておりますと、予想以上の保険金、数ヵ月も経ってから突然降って湧いた様な国や県、市からの手厚い援助の話や大きな義援金、更に前述のたった3日間の本山奉仕者の皆様からの厚い義援金など、またまた思いもよらないような流れが次々とできていきました。
自宅の状態はまだ被災後とあまり変わりませんが、本原稿執筆時には、来年(本年)自宅を建て替えることができるかもしれないという流れで、設計士さんに図面をお願いし仕上がってくるのを待っている状況です。
我が家も古い家(築38年)を15年前に中古で購入したのですが、使用している材料などは今では手に入らないような立派な材木ですが、作りが古く、個室が無い、色々な部分が傷んできている等の諸問題があり、建て替えの意思は全くありませんでしたが、子供の成長に合わせリフォームの必要性は以前から考えておりました。
また決定的なことに、古い家だけに耐震が全くなされておらず、非常に重要な柱の上に2階が乗っていないことが分かりました。震度5~6で自宅が完全に潰れてしまう試算です。リフォームと水害の修復には相当な費用が掛かり、まして耐震工事などを含めると、建て替え以上の金額になってしまいます。本当に思いもよらない流れで、凄い結果になるかもしれない。改めてその流れを作るように仕向けてくださった基となるこのご信心に畏敬の念を抱かずにはいられません。
 余談ですが先に述べた私の年表に、24歳から8年で自宅購入、それから8年で自社社屋の建立、それから8年は今年になるのです。ですので平成31年は何かあるのかな、何もないだろうな、と昨年思って「?」を付けていたのですが、どうやらこういった流れがあったようでした。
 今後もどのような流れになっていくか分かりません。しかし、お看経と御法門聴聞(お寺参詣と正しい教えの解釈)に努めることで、一見困難なこともそうではなくなることは理解しています。若い方達にも、考え一つで流れが変わる、人生が好転するということを体現していただきたいと思っています。ありがとうございました。