ほんもんぶつりゅうしゅう
2022年08月03日
日蓮聖人のお手紙を通して学ぶ 佛立信者のご信心と人生 その42 日蓮聖人のお手紙を通して学ぶ 佛立信者のご信心と人生 その42
日隆聖人(門祖聖人)は日蓮聖人の教えの真髄、要(かなめ)を12通りの宗名(十二宗名(じゅうにしゅうみょう))として説いておられます。
1.「過去宗」―日蓮聖人のご信心は、計り知れない昔(久遠)に永遠のいのちを具えた本仏としての釈尊が説かれた御法門としての法華経本門の教えに基くものである。
2.「下種宗(げしゅしゅう)」―日蓮聖人のご信心は、釈尊がその本地(本体)を明かし、上行菩薩を介して末法の世の人々のために、まことの成仏の因(種)となる信行のあり方を説かれた法華経本門八品の教説に基くものである。
3.「本門(ほんもん)経(きょう)王(おう)宗」―日蓮聖人のご信心は仏が説かれた一切の教えを束ねる諸経の王の如き教え(本門八品)に基づくものである。
4.「事相宗」―日蓮聖人のご信心は、姿、形に示すご信心、とりわけ口業(くごう)、すなわち御題目をお唱えすることを中心とするご信心である。
5.「無智宗」―日蓮聖人のご信心は、自らの智慧をもって仏の悟りを得ようとするのではなく、「慧(え)」を「信」に置きかえて、口唱を通して「仏智」を頂こうとする信心である。
6.「信心宗」―日蓮聖人のご信心は「一念(いちねん)信(しん)解(げ)」という素直正直な境地、すなわち仏道の原点から逸(そ)れないご信心である。
7.「易行宗」―日蓮聖人のご信者は一途にひたすら御題目口唱を通して仏の悟りの功徳を計らずも譲り頂く末法の凡夫相応のご信心である。
8.「経力宗」―日蓮聖人のご信心は、禅宗のように「自力」に偏ることもなく、浄土宗にように「他力」すなわち自らの修行を捨て去る信心でもなく、信行に心がけることによって御本尊、御題目のお力、すなわち「経力」「仏力」と「信力」が感応する三力和合のご信心である。
9.「口唱宗」―日蓮聖人のご信心は、法華経本門の肝心である南無妙法蓮華経を仏の万善万行の功徳を1つに集めて要法、要行としてお持ちするご信心である。
⒑「名字(みょうじ)即(そく)宗」―日蓮聖人のご信心は、仏道修行の初歩の段階、名字即というレベルに留(とどま)って、ウブで素直な境地を忘れないご信心である。
⒒「教(きょう)弥(み)実(じつ)位(い)弥下(みげ)宗」―日蓮聖人のご信心は仏の大慈悲によって下機(げき)下根(げこん)の衆生までも救いとるご信心である。
⒓「直入(じきにゅう)法華(ほっけ)折伏(しゃくぶく)宗」―日蓮聖人のご信心は未だ仏の種を授かったことのない(未下種)衆生に廻り道をすることなくただちに本門の大法を説き持(たも)たしめるご信心である。
 この門祖日隆聖人によって復興された宗祖日蓮聖人のご信心のあり方は開導日扇聖人によって受け継がれました(蓮隆扇三祖)。そのことを日扇聖人は左のように御教歌に示しておられます。
下種宗は 余宗余門の法門と 天地(てんち)水火(すいか)の 違目(いもく)あるぞや
諸(もろもろ)の 経の中なる大王の 御(おん)たましいは 南無妙法蓮華経
 末法は 無智なる故に心にて 出来(でけ)ぬを所作でするが信心
 物しりは 御利益しらず 御利益を しるたる人ぞ みのり弘める
 当宗は 先(まず)はじめから本門の 要法を説く 不軽(ふきょう)行(ぎょう)なり
※「不軽(ふきょう)行(ぎょう)」―法華経に登場される常(じょう)不軽(ふきょう)菩薩(ぼさつ)の示されたお教化のあり方。