ほんもんぶつりゅうしゅう
2021年11月01日
前宗務総長 退任の挨拶 コロナをお叱りと罪障と受け止め ご降誕800年慶讃ご奉公を推進 小西日演
不肖、平成30年10月13日より宗務総長就任以来、今般10月12日をもって退任させていただくに当り、一言御礼を申し述べます。
浅学非才・不徳の身にもかかわらず、宗務を運営できましたのは、偏に御法のお計らいと、髙須講有上人・小山講尊上人・山内講尊上人、また、木村前宗務総長はじめ宗内教講ご一同のご支援の賜と心より御礼感謝申し上げます。
 また、支え助力してくださった西村副総長はじめ総局員・宗務員各位のご奉公には深く心より謝意を表する次第です。
 私ども内局は、平成30年度から始まった高祖ご降誕800年慶讃ご奉公、教務員・宗徒の増加と次世代の信徒、後継者の養成等の課題に取り組み、教化・法灯相続 つづれ織り運動の誓願成就のご奉公を推進してまいりました。
 しかし、任期3年の間、2年間を新型コロナの感染拡大という、予期せぬことが起こり、重要課題と真摯に取り組みましたが、なかなか力及ばず、確固たる成果に達することができず任務を終了せざるを得ないことに、思いをいたし慚愧に堪えない次第であります。
 この大事な時に、コロナに遭遇せざるを得なかったこと自体が、お祖師さまの強いお叱りであり、私の罪障であったと自覚するところであります。
 さて、就任当初の重要課題は「弘通に資する人づくり」「財政の再建」「宗内機構の見直し」を3本の柱としてスタートいたしました。
 それを受けて「教育局」では、次世代の人づくりの教育として、教学講師養成を目的とした講義の定期的な開催、教務員福利厚生規程の改訂により、貸付金制度の変更、寺院志納金の見直し等の制度改正を進め、教務員の充実を図ってまいりました。
 また「信行検定」で信徒教育の見直し、充実に取り組み、修学塾への参加を促し、中核的なご奉公のできる「人づくり」をめざし、ご奉公させていただきました。
 「弘通局」は、八〇〇(ハチマルマル)の3本の矢を放ちました。それは、教化誓願達成に全力投球・教務員および学徒を育てる・薫化会活動の充実です。
 コロナの影響下で、初めてオンライン講座に挑戦し、参加者の幅を広げることができました。「薫化会活動の充実」では、任期ギリギリで「くんげのレシピ」のテキストの発刊を見ました。活用いただきたいと思います。
また、コロナ禍の弘通停滞打破を図るため、講有上人導師のもと毎月、全国統一口唱会を実施、本山よりウェブ配信をし、寒夏参詣のビデオ御法門もウェブ配信により、常在教務の居ない弘通拠点、ご信者が自宅でも、病院でも御法門聴聞できるよう対策を実施しました。
海外弘通は、長年ご奉公された長谷川日堯師のご遷化は少し綻びを感じさせましたが、今後の海外弘通の担い手となる人材育成を目的とした「海外弘通スクール」を設立し、新たなご奉公体制の構築を図りました。
ブラジルでは、日教寺移転プロジェクトは、現日教寺の土地売却書、並びにイピランガ地区土地買収書が受理され、新たな土地の購入手続きが完了、30ヵ月以内に日教寺移転、新本堂の工事着手を目指しています。また韓国では、鶴松寺と新清寺の弘通基盤の統合に向けてご奉公させていただいています。
 「広報局」では、冊子、ウェブ、ソーシャルメディア、ミュージアム等活用し、宗内の活動等を宗門の内外へと伝え、地方のご弘通を支援するため、自前でホームページ等を開設できない寺院の、お役に立てるようなご奉公を進めてきました。
 また、ミュージアムの財源が百万霊会特別会計から一般会計に変更されました。推移を見守る必要があると思います。
 「大放光」は令和3年3月で終刊となり事業が宗門に移管されることとなりました。広報局がこの受け皿となり「本門佛立宗機関誌出版に関する委員会」を発足し、新しい機関誌出版に向けて準備しています。
 コロナ禍によって、インターネット環境の急速な充実と普及は、信行の形態に大きな変革を与えるものとなりました。今後有効に活用されることが求められます。
 「総務局」は、コロナ禍の感染拡大による宗制の想定外の事が起り、その都度、置田顧問弁護士の指導を受けつつ宗務の執行という前例のないご奉公となりました。そのため「宗内機構の見直し」も残念ながら道半ばで責任を痛感しています。ただ今津用地の管理費が年間1千万円程ありましたが、管理人2人に退職していただき、管理部と地元自治会が管理し現在は年間100万円程ですんでいます。 
 「財務局」はコロナ禍もあり、財政収支は様変わりしました。近年、財政赤字が続いていましたが昨年度は1億円を超える余剰金出ました。それは、今津の管理費の削減。総長車の廃止。総局員・宗務員の慰労金の廃止。総局員・宗務員・書記の毎年の反省会の廃止。交通費の見直し等、本庁内の改革によるところのものがあります。
 「奉賛局」は、今期に入ってまもなく浮上した本山隣地に関する課題は時期的な可能性から「記念事業」と位置づけ入手をめざしてまいりました。本山の隣地を活用し新たな時代の「本山中心信仰の確立」「行財政の改革」をめざそうと考えたからです。
 本山中心信仰を宗是とする本宗として、現在直面する諸課題を解決し、未来に向けて飛躍を期するにあたり、極めて重大な位置づけにある本山隣地の入手に向け、今期の取り組みを引き継ぎ、継続してご奉公くださることを切にお願いする次第です。
 幸いにして新宗務総長には、宗門中が嘱望する第6支庁・埼玉の実在寺新井日現導師が就任され、また強力な陣容の宗務役員スタッフでスタートされました。これに過ぎる喜びはありません。
 どうか宗内教講各位の絶大な異体同心の支援とご奉公を切望いたします。
(名古屋・上行寺住職)