2025年09月01日
今、なぜ組織改革なのか ~未来の佛立のための第一歩を~ 特別局局長 植田日事
今、宗門は「組織改革」を実践しようとしています。
なぜ、この問題に取り組むことになったのか。それは、山内日開上人が御講有ご在任中、時の宗務総長は現在の御講有・木村日覚上人でいらっしゃり、その折に宗門の中長期構想の策定をする弘通審議会が組織され、3度に亘る答申がなされました。
その内容は、国内外に亘るご弘通の問題、教講に対する教育の問題、さらには、教養会や宗門財政の問題等、多岐に亘るものでした。
そのような中にあって、改めて当宗の現状を振り返ると、現在の宗制が制定されたのが高祖700回御遠諱の時で、その時と現在を比較すると教務の数もご信者の数も大きく減少していますし、三大奉納金は平成3年をピークに現在は、当時の半分に減額しています。
また、教務員の減少により無住寺院がありますし、誠に御宝前に申し訳ないことながら、消滅してしまった寺院もあります。このような現状を鑑みるとこれまでと同じやり方をしていてよい筈がありません。だからこそ、「組織改革」が求められているのです。
抑も「組織改革」とは、所謂「ヒト・モノ・カネ・ジカン」を最大限に活かせるようにすることを言います。つまり、組織や人事、制度、財務、そして情報伝達の方法など、実にさまざまな事柄に関する見直しを行って改革することを意味するのです。その中にあって、まずは「組織再編成」から着手しようということになり、佛立第26世講有髙須日良上人は、ご諭告で「大改良の名のもとに組織改革をせよ」とお諭しくださったのです。
これまでの経緯を振り返ると、この問題に着手(2013年)してから早12年の歳月が経過しています。私たちは日頃から御法門で「改良は頭燃を払うが如くせよ」とお教えいただいているにも関わらず、このような足踏み状態のままでよいのでしょうか。答えはノーに決まっています。だからこそ、お祖師さまの750回御遠諱に向かってなんとか今期中に組織を再編成して相互協力体制を強化し、ご弘通の力を回復しようとしているのです。
ではそこで、組織再編成に関する基本的なスタンスは、どのようなものなのでしょう。それは、これまで本庁・支庁・布教区・寺院という4重構造だった組織を本庁・布教区・寺院の3重構造にし、当宗は弘通集団ですから布教区の呼称を弘通区に変更しようというものです。
本庁の出先機関である支庁が無くなって大丈夫なのだろうかと心配される方も居られますが、支庁で扱っていた法人事務は本庁が司ることを考えています。また、このことによって事務的な面での効率化はもとより、人材面や財政面での効率化も図ることができ、地域弘通の活性化を期待することができます。現在、1人のお教務が支庁と布教区のお役を兼務し、多忙を極めている方々が少なくありません。しかし、支庁を廃止することによって、そのために費やしていた力をご弘通に注ぐことができるようになるに違いないのです。
また、人材や時間的な効率化のほか、旅費・交通費の軽減にも繋がります。さらには、支庁が無くなることによって本庁と弘通区のコミュニケーションがダイレクトになる利点もあるのです。現在、全国の教講が最も心配されている課題の1つである弘通区割については、これまでさまざまな案が提示されましたが、それらを一度白紙に戻し、「それぞれの布教区による考え方を尊重する」ことにいたしました。それは、それぞれの地域によって事情が異なりますし、「現場でご奉公されている方々が最適と思われる組み合わせが望ましい」と判断したからです。また、寺院規模によって1寺院1弘通区も可とすることといたしました。
このような再編制を行うことによって、これまでの布教区を組織していた寺院以外のお寺と組むことになる弘通区も出てくると思います。しかし、これは「新しい人材や新しい考えが生まれるチャンス」と受けとめていただきたいと考えます。また、場合によると弘通区の地理的範囲が大きく広がることになり、はたして1つの弘通区としてのご奉公ができるのかと心配される方々も居られます。しかし、広く考えますとブラジル教区は日本の32倍の国土にも関わらず1つの教区として立派にご弘通ご奉公を展開されていますから、このことも「新しいやり方を考えるチャンス」と受けとめていただくとありがたいです。
これまでの話し合いを振り返りますと「今のままで大丈夫」というご意見の方もいらっしゃいます。はたして本当にそうでしょうか。現実を直視すると中には今のままでは立ちゆかない布教区も出て来ています。もし、皆さんのお寺でそのような組や部が出て来たら、どのようになさるでしょうか。決して、そのままになさる筈がありません。だからこそ、宗内教講の皆さまには、宗門全体を考えていただきたいのです。
例え話になりますが、熊本県の黒川温泉。今でこそ大変有名になりましたが、以前は地図にも載らない温泉地だったといいます。訪れたお客の中には「二度と来ない」と言い捨てて帰った人もいたそうです。しかし、30軒ある宿のうち新明館という旅館だけはお客が途切れない宿でした。その理由は、ご主人の後藤哲也氏が一人で10年掛けて作った洞窟風呂を備え、また、露天風呂があったからだというのです。
しかし、この後藤氏が立派だったのは、自分の宿だけが繁盛すればよいというのではなく「1軒では土地は光らない。皆が結束して磨けば風情が生まれる。風情が生まれれば黒川も栄える」と唱え続けられたのです。この言葉に他の宿の主人たちが共感し、皆で木を植え緑豊かな黒川にし、皆が結束して露天風呂を作ったのです。
ところが2軒の宿だけは構造上、露天風呂を作ることができなかった。そこで、改めて皆が結束して考え出したのが、1,500円を払うと3つの宿のお風呂に入ることができる「入湯手形」。これが当たって、今や年間30万人の宿泊客があり、日帰り入浴まで含めるとなんと100万人もの人々が訪れる温泉地になったのです。
このことを宗門と照らし合わせて考えますと、「宗門も1ヵ寺では光らない。 皆が結束するからご弘通の力になる」と申せましょう。従いまして、今後組織される弘通区が今一度初心に返り、皆が異体同心で結束して知恵を絞り合い、これからの困難な時代を乗り越えるそのキッカケにする必要があるのではないでしょうか。
現在の御講有・木村日覚上人は「高祖750回御遠諱は宗門が伸るか反るかの分かれ目になるであろう」と仰っています。だからこそ、教講の皆さまには宗門ご弘通発展のために宗門組織改革に前向きな取り組みをいただきますことをお勧め申しあげます。
なお、組織再編制による細かな変更点等についてご理解を深めていただくためのミーティングを各支庁に於いて開催することになっておりますので、関係各位にはご出席いただき、ご要望やご意見をお聞かせいただきたくお願いいたします。
(本稿は、第240回臨時宗会における「宗門組織改革についての懇談会」で説明された内容のダイジェスト版です)