2026年06月01日
海外弘通だより~オーストラリア編 きんつぎ堂のオープンに300名が! 様々な問題を乗り越え弘通施策のひとつとして完成








2024年2月3日、一人のお教務が亡くなりました。オーストラリア教区の前担任、八王子清流寺の平松信応師。51歳でした。
2020年の長谷川日堯導師のご遷化に始まり、移転のためのメルボルン別院閉鎖、そして、予想だにしなかったさまざまな問題など、教区の混乱した状況を『すべては僕の罪障です』と言って一身に背負い、現地のご信者方を励ましながらご弘通の活路を見出そうと必死にご奉公なさってきた御講師です。
2024年1月下旬、平松師は渡航ご奉公を終えブリスベン空港に向かう道中、お見送りのご奉公をなさっていた安木昌代さんとあるお話をされます。
それは、ブランド「DOGSTAR」のオーナー、また、ファッションデザイナーとして幅広く活躍している安木さんが長年あたためてきた『日本文化を発信し、人と人、人とカルチャーを繋ぐ場「金継ぎ堂」をオーストラリアに作る』という夢についてで「いよいよそれを実現できるかもしれない…、ならばそこでたくさんの人に佛立信心を知ってもらおう!」というものでした。
オリンピックの関係で資材の価格や人件費が高騰し別院の移転先の目処が立たない、つまり、一時的に弘通拠点を失った今、どうご弘通を進めるかという課題に向き合っている教区にとって、お寺や別院ではないものの、弘通施策の1つとして活用できる大きな可能性を秘めた「金継ぎ堂」のプロジェクトに平松師と安木さんは意気投合したのでした。
平松師は帰国後の熱気冷めやらぬ中、すぐに長谷川御住職にご奉公の報告と「金継ぎ堂」についての打合せをされました。
そして、その数日後、突然の体調不良により逝かれたのでした… あまりにも突然のことで驚きと悲しさで世界の多くの教講が言葉を失いました。
特に、何とか苦境を切り拓こうと一緒に頑張ってきた長谷川教区長、オーストラリア教区のご信者方のショックは筆舌に尽くし難いもので「金継ぎ堂」のプロジェクトをいよいよ始動させようとしていた安木昌代さん・リバー=ペテインさん夫妻も突然道を阻んだ大きな壁に打ちひしがれるばかりでした。
もともと厳しい状況にあった教区に、追い討ちをかけるようなつらい出来事が起こったわけですが、長谷川御住職、お役中の山村ベイン光子さんを中心になんとか奮起してご奉公の再起動をはかります。
皆を突き動かしていたのは、御宝前はもちろんですが「信応師との夢を実現したい」、「信応師のご恩に応えたい」という思いで、逆風吹き荒れる中を皆が一丸となって口唱会やお助行などを力強く進め、今まで以上に気合を入れて御題目をお唱えされるようになります。
しかし、肝心の「金継ぎ堂」オープンまでの道のりは平坦ではありませんでした。
最適な場所が見つからない、今まで使っていた物件の契約がまだかなりの年数残っていて費用的に新しい物件の契約に移行できないなど、安木さんとリバーさんは何度も難曲に差し掛かります。
それがすべて、教区のみなさんとの御題目口唱の功徳で不思議と整い、ダメがダメでなくなり契約完了へと漕ぎ着くことができたのです。
2025年4月に上棟式、8月には取引先などを招いてのプレオープンイベントを開催しました。そして、本年3月、大きな御本尊をお祀りした祭壇を奥に構え、周りにバーや洋服のディスプレイ、アーティスト達のブース、特注の提灯をエントランス近くに掲げて、300名にのぼるお客さんやゲストを迎えました。
前日まで間に合うかどうか分からないバタバタの中、DOGSTARのスタッフ方やご信者方の協力でなんとか設営を完了しました。
イベントは17時からスタートし、MCが進行します。御題目の説明と唱え方の説明、法要の一座、法話、書道パフォーマンスと続き、そして、DJがアンビエントな音楽を背景に添えた素敵な雰囲気の中、ファッションショーなどなど、アートとカルチャーを御題目の法要で包んだ新しい試みでした。
たくさんのゲストが見守る中、法要では、御宝前にリバーさんお手製の特大塔婆を建立し、平松師、また、DOGSTAR関係者の先祖代々のご回向がありました。ゲストのほとんどは初めて参加した佛立の法要で、御題目を一緒にお唱えしたり、黙祷したり、そして、前回のプレイベントの際と同じく、初めて聴く御題目の音声に多くの人が「感激して涙が出た」、「心が震えた」、「信応師がいるのを感じた」と新鮮な気持ちを語ってくれました。
今回のご奉公には、平松師のご家族も同行されました。妻・多香さん、長男・良崇くん(7歳)です。
平松師と安木さんが話した夢が、皆の夢になり、上行所伝の御題目との御縁を大勢の方に結んでさしあげるという大きな願いとご奉公が実現し、そこでご家族とその大勢の方が参列し見守る中、信応師のご回向が奉修されたのでした。
海外でのご弘通ご奉公の環境は、日本と比べて様々な点で不十分であることが多く、色々な課題が山積みになっていて、当然と言えば当然ですが思い通りには進まないものです。
「このまま進んで大丈夫なのだろうか?」、「しっかり結果を出せるだろうか?」、「本当に御宝前の御本意にかなっているだろうか?」、自坊を離れそんな不安と向き合いながら臨みます。
そうやって体当たりでご奉公させていただいてきたことを、一生懸命にぶつかってきたことを、誰かが覚えてくれていて、誰かの心に響いていて、そして、ご回向の御題目をお唱えしてくださる。
「信応師、私たちの夢がちゃんと叶いましたよ。ご利益をいただけましたよ。これからも応援してくださいね」
その場にいた皆の思いが御題目口唱の音声に乗って御講師のもとに届いたことでしょう。それはイベントに参加したゲストたちの反応や涙を見れば分かります。
拠点の無い状況で、300名に迫る多くの方々に御題目の結縁をさせていただくという有難いご奉公を成就されました。そこには、ご弘通を背負ってこられたお教務の夢と、それを大切に守られたみなさんの思いがあったのです。
今、オーストラリア教区のみなさんは、いよいよご弘通お教化を中心に別院建立を目指し、そして、金継ぎ堂でのイベントなども視野に入れて力強く励んでおられます。
南無妙法蓮華経、顕本院信応日供大徳 佛果菩提の為。 合掌
(イベント「発信」の動画)