ほんもんぶつりゅうしゅう
2023年05月11日
第32回研究発表大会を開催
3月28日、佛立教育専門学校と佛立研究所共催の「第32回研究発表大会」が、宗務本庁3階宗会議場にて開催され、修学塾教員研修会参加のお教務方はじめ一般のお教務・ご信者方、またZOOMを使用してのリモート参加もいただく中、午前10時40分より玄題三唱、新井日現宗務総長・植田日事教育局長・亀井日魁学校長の挨拶、修学塾教員委嘱状交付と続き、講有上人より御訓示を賜った。
 引き続き、研究所副所長・局日遙師より「高祖御遺跡調査経過報告」とともに今回の特別講演の講師・中尾堯先生の紹介が行われ、講演に入った。

中尾堯先生の特別講演

 立正大学名誉教授・文学博士である中尾堯先生は、日本古文書学会会長や文部省学術審議会専門委員・文化庁文化財保護審議会専門委員などを歴任され、平成25年には瑞宝中綬章を受章。お祖師さまのご生涯やご遺跡研究に精通され、本山宥清寺の高祖手自開眼御尊像の重要文化財指定にも携われた。
今回は、高祖ご降誕800年慶讃ご奉公を結実させていただき、8年後にお迎えする高祖750回御遠諱に向けて報恩の思いを新たにすべく、「観心本尊抄から佐渡始顕の曼荼羅本尊へ」との演題で、お祖師さまについてご講義をいただいた。
 先生は『観心本尊抄』の原本をご覧になっており、原本17紙のうち、1~12紙と13~17紙とは寸法と加工方法が異なることに注目、その意味を探られた。
 また、お祖師さまはあらかじめ同じ寸法の絹布2流を用意され、その1流に「佐渡始顕曼荼羅本尊」を揮毫、もう1流は白地のまま身延山に運ばれ、京都妙満寺に伝来する「文永11年6月曼荼羅本尊」を揮毫されたであろう、その連続性を探られた。
 その結果、『観心本尊抄』の「観心段」から「本尊段」に至る確信は「佐渡始顕曼荼羅本尊」に対応し、「弘通段」の文意は「文永11年6月曼荼羅本尊」に対応する。
 『観心本尊抄』の執筆の際、まず「佐渡始顕曼荼羅本尊」を図顕され、末法弘通の本拠が定まった(身延山を末法弘通の聖地として意味づけられた)時に、もう1流の「文永11年6月曼荼羅本尊」を揮毫された、とのお考えをお話しいただいた。

パネルディスカッション

 質疑応答、昼食・休憩を挟んで、研究所弘通研究部門主任・石岡日敬師の司会進行により、佛立教育専門学校教頭・蓑田日解師、「だいほうこう」編集長指田日行師、研究所副所長・局日遙師、そして特別講演をいただいた中尾堯先生にもパネラーとして参加いただき、『御遺文にみる信心の世界』とのタイトルでパネルディスカッションが開催された。

研究発表者と演題

①「『清澄寺大衆中』に示される「御本尊の手」についての先行研究からの一考察」
 研究員 小林彰隆師
②「宗内教務員増加のための一考察」
 研究員 姜 蕙昌師
③「法要式の一考察 ~犍稚法具の伝承について~」
 学校教諭 栢森清良師
 最後に佛立研究所所長岡居日実師の閉会の辞をもって、この日の研究発表大会が無事に終了した。