ほんもんぶつりゅうしゅう
2025年02月01日
新春清談 御講有上人大いに語る[2] 台湾でお勤めした3つの法要 回向の伝統 献身的精神の大事を再認識
先月号に引き続き台湾ご巡教の模様を、お聞かせいただきたいと存じます。
台湾との深い因縁に思いも新たにして
御講有 現地では3つの行事を勤めさせていただきました。まず、台湾佛立寺の高祖会。今申したように恙(つつが)なく奉修させていただきました。これは、よくよくその理由を考えますと、やっぱり王局長さんが非常に良くご奉公され、頑張っておられる。しかもその娘さんも法灯相続されて熱心にご奉公され、3人の方のお教化が御会式直前にできた、このご利益ではないかと思っております。
また高祖会の後は、団参の方も一緒にご供養を頂戴しましたけれど、もう量が多くて、ものすごい豪華なご供養なんですね。驚きました。台湾流なんです。本当は余らさなくちゃいけないらしいです。でも、みんなが全部食べるもんだから大変なことになったという、まあその志に本当に随喜したような次第です。
それから、その次は物故日本人のご回向。台湾で亡くなられた日本人の方々のご回向。これは宗内宗外に限らず、そういった方々のご回向の伝統は長い間続いており、ずっと佛立宗がこれを昭和45年以来、50有余年続けているという状況で、これはありがたいことだと思うんです。
で、そのご回向を通じて、現地の台湾在住の日本人の方とか日本人会の方とか、いろんな方とお目にかかって下種結縁ができているわけですね。これは大事な今日までの伝統ですので、やはり残していかなくちゃいけないと、こう思っております。
そしてもう1つは、これは佛立ミュージアムから出た本(台湾と日本展~台湾に遺るリップンチェンシン~展示図録)の中に詳しく出ておりますけれど、烏山頭(うさんとう)ダムを築かれた八田與(はったよ)一(いち)さん・外代樹(とよき)さん夫妻とダム建設犠牲者等のご回向をさせていただいたんです。烏山頭ダムの見学だったんですが、実際はご回向。外代樹さんのお墓がダムの放水路のところにあり、そこでご回向させていただきました。
そして、それを案内してもらった方は、八田與一さんの素晴らしい業績を知って非常に感動して、台湾には会社の命令で出向したのですが、在任期間を終えたあと、退社して現地に残り、八田氏の業績を世に知らしめる活動に30年も専念されてきたそうです。
八田與一さんは献身的な精神をもって、いわば菩薩行の精神で、それこそ何もかも擲(なげう)って、台湾の人のために広大な、当時世界一のダム建設をしました。そのことを当時の台湾の人々も、また後々の人たちも非常に感謝されて、それが現在も小学校の教科書に取り上げられ掲載されているんです。
現地・台南地方は全く水利が悪くて作物が取れず、60万人の農民が毎年のように苦しんでいて、これを何とかしてあげたいというその一念で、このダムを築いたのです。全てを擲って、まあご奉公ということなんですけれど、それと似たような精神で築いたわけです。
この八田與一さんの出身が石川県金沢で、その後を守っている徳光重人(しげひと)さんもボランティアで奉仕しているということでした。私は、生まれは違うんですが、もともと先祖が金沢なのです。私の得度師・日玄上人(父)が金沢出身なんです。
徳光重人さんは同郷で因縁を感じたっていうことなのですが、私もやはり因縁を感じました。私も通常のご奉公と共に、宗門の中で何か一つでもボランティア的なご奉公ができたら、とこういうような思いを新たにした次第です。
――そして本年は、5月に「御講有と巡る奇跡の15日間 ブラジル講有巡教 新生 日教寺へ!」と銘打って、ブラジル団参が実施されます。
ブラジル中央寺院・日教寺の新本堂建立も急ピッチで進められているようですが、現地の教講への期待・激励を頂戴したいのですが。併せて、日本からの団参予定者に対するお言葉もいただけたらと存じます。
過去に2度の訪伯 今回が3度目に
御講有 私は最初、西村日地上人のご遺言じゃないけれども、師命ということで岡居日長師(大阪・信光寺)と2人、何が何でも行けと言われました。もう40年近く前でしょうか、その時は開導百遠諱のブラジル別修法要が国内に先立ってありましてね(昭和62年7月19日)。
当時は4千人がブラジル全土から、みんなだいたい車でね、もう5日間ずっと運転して来ましたとかで、アニャンビー国際ホールで開催いたしました。それが満杯になるぐらいですから、本当にびっくりしたような次第ですが、やはり勉強になりました。宗費によって派遣していただいたのですが、それをなんとか宗門や宗内教講に還元していかなくてはいけない、と思っております。
それから10年前に、やはりブラジルにまいりました。その時は宗務総長として、ブラジル聖地に参りまして、ご奉公させていただきました。その後、当時の御講有・山内日開上人がご奉公なさいまして、きちんと御本尊奉安ができたわけですね。
そして今回、3度目になるわけなんです。1度目は19日間ぐらいですから、それから比べれば15日間は短いです。
――続きは、また来月号でお伺いいたします。(つづく)
(文責・編集部 聞き手・佛立新聞編集長)