ほんもんぶつりゅうしゅう
2022年06月01日
高祖日蓮大士の御遺徳を讃える ~数珠丸~
数ある日本刀の中で特に名刀といわれる五振を「天下五剣」という。
 その五振の中に【数珠丸】という太刀がある。この【数珠丸】は、鎌倉時代に作られ国の重要文化財にも指定されており今は兵庫県尼崎市の本興寺(法華宗本門流)に所蔵されている。
 さて、この【数珠丸】という太刀、元は高祖が所持なさっていた「守り刀」であるというから驚きだ。今回は【数珠丸】について探ってみた。

「数珠丸」の作刀者

 【数珠丸】の作刀者として伝わるのが鎌倉時代の刀工《青江恒次》。

なぜ高祖が所持を

 文永11年(1274) 高祖が身延山に入山の際護身用として信者より寄進されたのが【数珠丸】である。
 高祖はこの太刀の美しさに魅入られ、この太刀を《破邪顕正(邪説を打破して、正しい仏教の道を指し示す)の剣》として、柄に数珠を巻いて所持されていたという。ここから【数珠丸】の名が付いたといわれている。

寄進したのは

南部氏が高祖に【数珠丸】を護身用として贈ったとの説が定説となっている。

行方不明に

 紛失の経緯は不明だが江戸時代の享保年間(1716~1736)に久遠寺から消失してしまう。
 時は下り大正9年(1920)10月、宮内省の刀剣御用掛《杉原祥造》氏が、競売にかけられていた【数珠丸】を偶然にも発見。杉原氏は私財を投げ打って【数珠丸】を買い取った。

尼崎・本興寺に

 【数珠丸】は大正11年《旧国宝》に指定され、その後、昭和25年4月13日、改めて国の《重要文化財》となった。