ほんもんぶつりゅうしゅう
2022年04月01日
高祖日蓮大士の御遺徳を讃える「鯛の浦のタイ」
高祖日蓮大士は、承久4年(1222)2月16日、安房国長狭郡東条郷片海(千葉県鴨川市小湊)でご誕生。伝承によると、誕生時、
①海上に青蓮華の花が咲き、
②浜辺に多くの鯛が群れ、
③庭先からとても清らかな泉が涌き出したといわれている。
これを祖師誕生時の【三奇瑞】と呼ぶ。

 さて驚きは【三奇瑞】の内の「鯛の出現」である。高祖ご誕生の承久4年2月16日を境に、今でも小湊(鯛の浦)の地に「鯛」が群生しているというから不思議だ。

「鯛の浦」の鯛の歴史


承久4年(1222)高祖誕生 鯛の出現。
弘長4年(1264)波題目と投げ餌 高祖が父の回向で帰省の際、海に向け祈ると波の上に御題目が顕れる。同時に多数の鯛が集まり、その御題目を食べ尽くしたという。以来、村人たちは鯛を「日蓮聖人の化身」として、殺生禁断と定め、餌を供え守護し始める。
明応7年(1498)明応の大地震と津波 大地震と津波で生家は海中に没す。海底も大きく変化したが、変わらぬ鯛の出現に、手厚い保護は守り継がれる。

寛文5年(1665)水戸光圀公の尽力 テレビドラマ「水戸黄門」で有名な光圀公は、織田信長の弾圧策で廃寺となっていた「誕生寺」を私財で再建に尽力。その後、徳川幕府より鯛は禁漁保護される。
明治36年(1903)禁漁区に 漁業法第26条で禁漁区とされる。

大正11年(1922)天然記念物に 「鯛の浦」の鯛が内務省より「天然記念物」に指定される。当地の先祖から受け継がれてきた「鯛」の保護への努力が花開く。
昭和42年(1967)特別天然記念物に昇格 天然記念物からさらに特別の指定を受け「特別天然記念物」となる。

「鯛ノ浦」の鯛の不思議

 真鯛は深海魚(水深30~150㍍に生息)で通常は群れをなさない。しかし、「鯛の浦」の鯛は浅瀬(水深10~30㍍)でしかも群れをなし生息している。また餌をまくと水面に現れるのは大変珍しく、世界的にもこのような行動するのは「鯛の浦」の鯛だけという。日本で特別天然記念物(魚類)は「鯛の浦」の鯛だけで、学術的にも非常に貴重な鯛なのである。

 鎌倉時代より今に至るまで人々から「日蓮聖人の化身」として守られ、そして、学術的にも大変貴重で珍しい鯛が「鯛の浦」に生息し続けているその理由は、やはり、高祖日蓮大士の「御徳」の然らしむるところであろう。