ほんもんぶつりゅうしゅう
2019年05月21日
トランクの中の日本 戦争、平和、そして仏教展 サンマリノ開催記念式典
昨年に続き二度目となる「トランクの中の日本 戦争、平和、そして仏教展」サンマリノ共和国が5月17日から開催されました。

今回は、本門佛立宗イタリア教区の御講有巡教が5月に行われ、その行程の中で本門佛立宗の最高指導者である佛立第26世講有 髙須日良上人と随伴参詣者約40名がサンマリノ共和国を訪問。この貴重な機会にサンマリノ共和国から同展示の開催を要望いただき、開催が実現しました。

17日午後4時、髙須日良上人は、3月に日本を訪問し本門佛立宗の議会でもスピーチを行ったポデスキ文化大臣と会談。続いて国会議事堂(旧プブリコ宮殿)議場に於いてサンマリノ共和国の国家元首である2名の執政官と随伴参詣者と共に謁見。スピーチではポデスキ文化大臣の歓迎の辞の後に、髙須日良上人、続いて執政官が感謝の辞を述べ、互いの親交を深め、平和への思いを確かめあいました。

場所を国会議事堂エントランスに場所を移し、日良上人、文化大臣がテープカット行いました。

佛立第26世講有 髙須日良上人の感謝状は以下の通りです。■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「感謝状
終戦七十周年の節目にあたり、貴国は原爆投下直後に撮影された少年の写真を中心とした京都佛立ミュージアム『トランクの中の日本 戦争、平和、そして仏教』展に対し、当初から惜しみない協力を与えてくださいました。同国での2度に及ぶ写真展の開催はその最たるものです。貴国と私たちが掲げた平和のメッセージはローマ法王すら突き動かし、戦争がもたらすものを多くの人びとに知らしめることとなりました。
ここに人類の平和を希求する一人の宗教者として心から貴国に対し感謝の意を表します。
ノートルダム寺院の火災、スリランカの同時多発テロなど世界各地で戦争やテロが続いています。私たちは何としても憎悪の連鎖を断ち切らなければなりません。
平和の国・サンマリノと唯一の被爆国であるわが国がさらに友好を深め、世界の恒久平和に貢献することを切望します。
仏陀の聖句
願わくはこの功徳を以て普く一切に及ぼし、我等と衆生と皆共に仏道を成ぜんことを
本門八品所顕上行所伝本因下種の南無妙法蓮華経

2019年5月17日
本門佛立宗 第二十六世講有 大僧正 髙須日良 御印」

国会議場では文化大臣のご挨拶に続き、執政官から歓迎のスピーチが読み上げられました。スピーチは日本語に訳され、議員席に座らせていただいた参加者に配布されていました。
執政官のスピーチは下記のとおりです。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「髙須日良閣下率いる本門佛立宗の皆様とサンマリノにてお会いできる事を大変嬉しく存じます。
この度、サンマリノ共和国へお越しくださって感謝いたします。我が国を代表して歓迎致します。今年も「トランクの中の日本 ~戦争、平和、そして仏教」の写真展を我が国に於いて開催できる事はこの上ない光栄でございます。
この度の働きは日本とサンマリノを結ぶ純粋且つ深い友情の絆の証でもあります。
日本とサンマリノ、両国は遠く離れていても、相互に敬愛の心で結ばれています。その心は互いの歴史と文化をより深く知り、同じ目的のために手をつないで努力をするきっかけとなりました。
原爆の悲劇に遭われた日本。平和と中立を貫きながら第二次世界大戦では被害に遭ったサンマリノ。両国の国民の平和への強い憧れと努力は同じです。
この努力の下、人の尊厳と権利を保守するため、文化と文化、文明と文明、宗教と宗教の交流、理解のために、力強い声を挙げています。相互の理解と交流があれば、安定した平和な未来を築く事ができると信じて。
この国会議事堂で間もなく開催される「Nagasaki Beyond」の写真展を訪問し、日本とその国民が遭われた言葉にできない悲劇に籠っている平和へのメッセージは現代、そして生まれて来る世代への忠告となるでしょう。
この平和へのメッセージの世界への発信のために、今年も皆さまに協力できることは光栄です。
これからも日本とサンマリノの友愛が一層深くなる事を願って、平和と助け合いの理想への道を示して下さった皆さまに心から感謝を申し上げます。
2019年5月17日・サンマリノ共和国」

今回の再開催に寄せられた長松清潤館長のイントロダクションには次のように記されています。■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「2015年、京都の小さなミュージアムで開催された「トランクの中の日本 戦争、平和、そして仏教」展は、サンマリノ共和国の協力を得て平和のムーブメントを起こし、少年の写真はローマ法王の元にまで届けられました。

3年後の2018年、ローマ法王フランシスコは、平和へのメッセージとしてこの写真を全世界に配布するよう指示しました。写真には「幼い少年の悲しみはただ、血のにじんだ唇をかみしめるその身ぶりの中にのみ表現されている」と書かれ、裏面には法王の署名と「戦争が生み出したもの」という言葉が添えられていました。
こうして、小さな願いと祈りが世界中に広がってゆきました。
昨年夏、私たちは同写真展を、サンマリノ共和国パブリコ宮・国会議事堂の1階エントランスで開催いたしました。この展示会はさらに大きな反響を得たのです。

世界唯一の被爆国・日本、ヒロシマ、そしてナガサキ。世界最古の共和国でありながら軍隊を持たず平和を保持し続けてきたサンマリノ。
この少年の写真が世界中の人びとから注目されている今こそ、共に伝えるべきものがあると考え、今年もサンマリノ共和国での写真展を開催いたします。
息絶えた弟を背負い、唇をかみしめ、一滴の涙も見せず、直立不動で前を見据えていた少年。
あの日、確かに長崎にいた、幼い兄弟の真実です。写真を見ながらオダネル氏の言葉を読み進めてゆけば、敵と味方の境界を越えた彼の心の変遷を追体験できるでしょう。

本年の写真展のテーマ
“NAGASAKI Beyond From San Marino”
「国を越えて、民族を越えて、宗教を越えて、憎しみを越えて、ただひたすらに平和を願う。
長崎、そしてサンマリノから、世界へ。」

2回目となる今回の写真展では、過去を振り返るだけでなく、未来に向かうべきだと考えました。
ナガサキを越え、ヒロシマを越えて、国や民族、宗教、憎しみや悲しみを越えて、サンマリノから未来へ。
それこそ当企画展の主旨です。
今回はカラフルな折り紙を用意し、日本の子どもたちをはじめ、写真展に足を運び、心動かされた来場者の方々に、平和への想いや願い、メッセージを書いていただきたいと考えました。それらのメッセージをボードに貼り合わせてゆき、美しく力強いメッセージアートを創出します。モノトーンの写真展と鮮やかなアートボードは、未来への希望と平和の象徴となります。
このサンマリノ共和国から、イタリアをはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、アジア各国など、世界の隅々にまで平和のメッセージを語り継いでゆきたいと切望しています。

京都佛立ミュージアム 館長 長松清潤」