ほんもんぶつりゅうしゅう

2015-09-07 14:13

「お彼岸」

 九月二十三日は秋のお彼岸です。お互いに繰合せ誘い合わせて一人でも多くのご信者がご参詣になられるようにお勧めいたします。
 昔から「暑さ寒さも彼岸まで」といわれていますが、彼岸会は佛教の行事で、春秋の二回昼夜の時間が同じになる日、春分と秋分の日を中心に、前三日、後三日の一週間を法要の期間としています。
 この彼岸会は、インドにも中国にもなく、日本にだけある法要です。すでに聖徳太子の頃からこの法要があったとされていますから、おそらく農事暦の中に、春分と秋分を祝う、なんらかの行事があって、それと佛教の到彼岸を願う行事が習合したのであろうと考えられています。
 お祖師様が、弘安五年正月に上野殿へのご消息に、彼岸抄と名付けて伝えられるものがあります。
 それには、「夫れ彼岸とは春秋の時正の七日、信男信女があって、若し彼の衆書を修して小行を勤むれば、生死の此の岸より苦海の蒼波を凌ぎ、菩提の彼岸に到る時節なり、故に此の七日を彼岸と号す」とお示しになられて、次に春分、秋分の二季七日の間につとめる修行の功徳の大なることが述べられています。
 彼岸とは御文からも解るように、涅槃の世界、寂光浄土の世界のことです。これ対して、此岸とは現実の娑婆世界のことをいいます。
 元来、彼岸会は到彼岸というのです。それを営む法要そのものが、娑婆の苦界を脱して、涅槃静寂の世界へ到るためのものなのです。「到彼岸」とはインドの言葉でパーラミータ、波羅身蜜(ハラミツ)というのであり、それが生死(苦界)の此の岸から、涅槃の彼岸に到るという意味です。
 この到彼岸を成ずる道に六種類の修行があってこれを六度行といって、「布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧」の六つの修行があります。
 しかし末法の私たちには、とてもこのような修行をする能力がありません。そこで佛は私たちのために本門の御題目の中に、六つの修行をしただけの徳分を含めてお授けくださったのです。
 そこで私たちは一生懸命に御題目を、お唱えさせていただければ、六度行修行したのと同じ功徳をいただくことができて、彼の岸に渡らせていただく事ができるのです。
 開導聖人も到彼岸についてご説明下されています。
「本門の御題目という御舟に乗船しなさい。安心して彼岸である寂光浄土の世界へ到達することができるのです。乗船とは、本門の御題目を自分も唱え、人にも唱えさせるという自唱他勧の信心に励むこと」とお教え下されています。
 御教歌
  かのきしにわたす御法の舟歌は
      きくもいさまし南無妙法蓮華経
                      小澤 清道 (御導師)