ほんもんぶつりゅうしゅう

2020-01-01 20:24

全信徒ご利益感得 ~日常信行見直し~

 ご利益とは
 一般にご利益というと、神社やお寺に参拝をすることで、神仏より与えられる不思議な出来事のことをいいます。
 そしてその多くは、神仏という絶対的な存在にぶら下がって、願いを叶えてもらうことを一方的にねだる、こちらにとって都合の良いものばかりです。
 佛立宗の信仰も、ご利益をいただけることを教えますが、世間でいうご利益とはその性質が違います。
 ご利益とは、御法様という絶対的な存在が、私たちを哀れんで奇跡を起こしてくれることではないのです。

佛立宗の現証ご利益
 佛立宗では、ご利益のことを「現証ご利益」といいます。現証ご利益とは、御題目が真実であることを証明するために「現実の証」として現れるものであり、法華経の根底に流れるテーマでもあります。
 いくらみ仏の教えが尊く有り難いものであっても、話を聞くだけでは有り難さを実感することはできません。熱心に信心修行に励んでいても、それが間違いではない確証がなければ、熱意も続かなくなってしまいます。そもそも、み仏の教えが真実であることを、何を以て証明すればよいのでしょうか。
 このような、凡夫の疑い迷いを晴らすために、み仏はご利益を見せてくださるのです。
 目に見えた、不思議なご利益を体験すれば、御法の有り難さが実感できますし、それを励み更に頑張っていけます。決定的な証拠なのですから、疑う余地もなくなるのです。

仏道への誘引
 み仏の教えは、過去、現在、未来という「三世」の因果を説かれたものです。私たちの身の上に起こることは、全て過去における種まきの結果であり、また今の瞬間が未来への種まきになっています。
 過去の行いを悔いて、今を正しく生きることで、自ずと未来が良く変わる。そのための生き方を、具体的に教えているのが仏教なのですが、教えを信じて信心修行の道に進める人ばかりではありません。
 そんな私たちであっても、現証のご利益を目の当たりにすれば、教えを信じて励めるようになるのです。

未来を救う祖師の御本意
 現証ご利益を現すには、正しい教えを正しく行じることが不可欠となります。用いる教えが間違っていたり、やるべきことを怠っていたのではご利益は現れません。
 真実の証明がご利益なのですから、棚ぼた式の幸運をねだるだけでは、正しい信心修行とはいえないのです。
 まずは教えを聞き、それを素直に実行してみてください。必ず現証ご利益をいただいて、御法の有り難さを実感できます。そこから本当の信心が始まるのです。
 み仏の教えは、この一生のみならず、死んでから先の未来までをも救う力を持っています。けれども、救っていただく側の私たちが教えを疑い正しい信心ができなければ、救いようがありません。
 ご利益はそんな私たちに信心を起こさせて、未来を救おうと遣わされるみ仏のご慈悲なのです。
 
全信徒ご利益感得
 本年妙泉寺は、「全信徒ご利益感得」を目標にご奉公を進めてまいります。御法門を聴聞して教えを学び、日常信行を見直して正しい信心を実践していく運動です。
 どなたもご利益をいただき、随喜に裏打ちされたご信心をさせていただきましょう。
 
御指南
 末代の弘通は現証利益を見せずば、愚人に信は取らし難し。後生大事と思ふもの少き時也。故に現世の利生を信ずれば未来の寂光も信ずべし。
 
御教歌
 現証の利益で信を起させて 未来を救ふ祖師の御本意