ほんもんぶつりゅうしゅう

2017-03-13 21:13

東日本大震災第七回忌法要厳修いただく

ありがとうございます。去る平成29年3月11日(土)第七支庁東北南部布教区耀護寺(宮城県石巻市)にて、特命巡教として東日本大震災第7回忌御正当法要を、宗務総長・木村日覚導師ご唱導のもとご奉修賜りました。  平成23年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災は、死者15,894名、関連死3,523名、行方不明者は未だ2,562名を数えます。建物の全壊半壊は公式に確認されている数字として400,326戸、岩手宮城福島3県では現在でも33,748世帯、71,113名が仮設住宅での生活を余儀なくされております。  当山・耀護寺が所在する石巻市は東日本大震災の死傷者の数が全国の市区町村で最も多く3,500名を超え、行方不明者は現在425名です。6名の信徒が津波でお亡くなりになられ、その中の1名は未だご遺体が発見されずにおります。  人類史上類をみない、想像もつなかい甚大な被害は6年が経過した現在でも大きな爪痕を残しています。また福島第一原発の放射能被害は収まることを知らず、私たちが想像も出来ない深刻な現状、「復興」の見通しが立たないような地域も数多くございます。  しかし、大変残念なことに時間の経過と共に全国では、この東日本大震災の報道なども徐々に風化されてしまっているように感じます。  「大震災からもう6年が経過したのだから随分と落ち着いているだろう。だいぶ復興も進んでいるんだろう。何を今更…」という率直な声を耳にいたします。  実際、震災後、すぐに復旧した地域も沢山あるのですが、未だに当時のまま放置されているような場所も沢山存在します。ただ、どんなに立派な建物が建てられても、高い防波堤が作られても、それが復旧=復興ではない地域も多く存在します。今でも賑やかな町並みに隠されるように仮設住宅が沢山建ち並んでおります。加えて、孤独死、孤立化、貧困、いじめ、差別など震災に付随した社会的な問題も無視することは出来ません。  そんな時に私は「震災の復興とは何なんだろう?」、「佛立教務として何をさせていただいてきたのだろうか、何をせねばならぬのか」とその都度反省をさせられます。  同じ地域にいても、人それぞれの立場や境遇、状況によって「復興」の定義や見方、感じ方が異なっております。当然、外から見る「復興」と中から見る「復興」も異なるでしょう。  本年は阪神淡路大震災の第二十三回忌、熊本地震の第一周忌という自然災害に縁の深い年でもあります。年々、地震や水害など、自然災害による被害は、増加拡大しているように感じます。私たちはこうした自然災害を決して「対岸の火事」ではないと知りつつ、つい自分たちの地域は大丈夫だろうと考えるものです。  大災害の年忌法要を通して、改めてそれぞれが当時の状況を振り返らせていただくと共に、全国各地で今後起こりえるであろう自然災害に対する備え、防災意識を高めるキッカケとさせていただければと思います。  さて当山では第七回忌法要の前日3月10日(金)耀護寺信徒会館を会場として16時より交流会を開催いたしました。まずはじめに参加者一同で平成23年3月11日石巻市内の津波の映像を観て、改めて震災当時の悲惨な状況が思い出されました。  耀護寺局長の開会あいさつの後、第7支庁東北南部布教区より耀護寺(石巻市)、妙護寺(仙台市)、清護寺(気仙沼市)、遠泉寺(郡山市)、妙運寺(いわき市)、佛立寺(福島市)など被災地域で御奉公させていただいている教講の言葉、そしてプロジェクト7より耀護寺と交流支援を継続して下さっている第9支庁四国布教区より高松妙泉寺、毎年定期的に支援助行を続けておられる第10支庁北九州布教区より光薫寺からご来寺いただいた教講の言葉、今回初めて東北へ足を運ばれた第8支庁青年会の言葉、ブラジルからいらしたコレイア日友導師のあたたかいお言葉など、宗内教講様々な立場から率直な声を聴かせていただくことができました。  また当山が日頃親交を重ねている山下二丁目町内会役員5名、宗門各御寺院の復興市等で使用していただいている被災2商店(青山わかめ店、焙煎珈琲カフェトレ)をご招待させていただき、宗外の立場からも、客観的に震災の「振り返り」が出来たように思います。  今回の交流会は東日本大震災より6年を迎えるにあたって、感じたこと、体験したこと、学ばせていただいたこと、そしてこれからのことなどを参加者同士それぞれの地域や立場で「共有」させていただくことを目的に開催させていただきました。結びに、宗務総長より総括を頂戴いたしました。交流会は宗務総長をはじめ御講師14師、信徒46名、宗外7名合計67名の参加でした。  翌3月11日(土)午前9時より門脇地区南浜町「がんばろう石巻」の看板前の公共祭壇へ御本尊を御安置し、現地回向法要を100名を超える参詣者のもと奉修させていただきました。法要後「みなみ浜つなぐ館」を見学して、市職員より震災当時の生々しい話を伺うことができました。その後、未だ震災の傷跡が残る石巻市内を巡回しました。  そして午前10時30分より、特命巡教・東日本大震災第七回忌御正当法要が厳修されました。第4支庁顕証寺、第5支庁遠妙寺、乗泉寺、立正寺、第8支庁信廣寺、信受寺、第9支庁妙泉寺、第10支庁光薫寺、海外ブラジル教区、第7支庁東北南部布教区各寺院、御講師18師、信徒160名を超えるお参詣を頂戴いたしました。本堂内には参詣者一同の精一杯の御題目口唱の音声が大きく響きわたり、心より随喜させていただきました。  法要後、東北南部布教区長代行秋山現信講師、当山ご住職、震災復興委員森川氏より「震災第7回忌を迎えるにあたって」のご挨拶をそれぞれいただきました。  続いて、宗務総長より講有上人より賜りました「御諭告」をご拝読いただきました。法要の結びに宗務総長の御法門を聴聞し、参詣者一同震災復興に向けて御弘通御奉公へ思いを一つにさせていただきました。  御教歌  苦しみの 海にしづむと 見えつるも 御法の浪に うかぶ諸人  最後にこの度の東日本第七回忌法要に際しまして、全国寺院の皆様より志深いご奉納いただきました4,400本を超える慰霊御塔婆(水溶性の紙塔婆)は祭壇へ奉呈し、法要後石巻市へ津波が到達した時間に合わせて御看経をさせていただきながら、一本一本石巻の港より太平洋の海へと手向けさせていただきました。紙面をお借りして深くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。  今後も東日本一円の震災復興へ向けて、皆さまの復興支援のお志にお報い出来ますように、微力ではありますが、心を尽くしてご奉公させていただく所存でございます。また地域社会や市区町村との繋がりや信頼関係を作っていくことも当山の大切な課題です。  当山寺内信徒の信行相続促進、役中後継者養成、世代交代など山積している問題を謙虚に受け止め、日常信行の見直し洗い直しを継続して推進し、教講異体同心で御弘通のお役に立てさせていただけるよう精進申し上げます。(耀護寺所属 近藤教要 拝)