ほんもんぶつりゅうしゅう

2020-06-07 09:56

6月7日の隆宣寺日記

「象って、どんな生き物?」と聞かれたら、どう答えますか?体が大きくて、鼻が長くて、灰色で、牙があって…こんな風に色んな特徴を挙げながら象の説明をすると思います。象の全体を知っている人なら、きっと、そう答えるはずです。
 
昔から色んな御経で語り継がれているお話があります。全てに共通しているのは《目の見えない人たち》が象を触ること。そして、象が一体どんな生き物なのかを答えることです。《目の見えない人たち》は象の一部分だけを触って「象とは、こんな生き物です」と答えます。たとえば…足を触った人は「桶(おけ)みたいな生き物」と答え、鼻を触った人は「太い縄みたいな生き物」と答え、腹を触った人は「太鼓みたいな生き物と」と答えます。
 
すると、その様子を見ていた人(目の見える人)たちが《目の見えない人たち》を小馬鹿にして笑い始めます。なぜなら、象の一部分しか触っていないのに、それを象だと思い込んでるのが、おかしくて仕方ないからです。でも、その人達を注意する人がありました。「私達だって自分の思っていることが一番正しいと考えて、それを言い張ってるではないか。目の見えない人たちのことを笑うどころか、もっと自分のことを反省するべきだ!」
 
極端な話、自分の常識は「誰かにとっては非常識」ということもあります。自分の当たり前、自分のルールは万人共通、世界共通ではありません。ただ、その「当たり前」「ルール」がダメだということではなくて、それを言い張ったり、相手を否定したりすることがダメな訳です。私達は仏様のように《この世の真理》《この世の全て》を悟ることはできません。だからこそ、もっと謙虚に仏様の言葉に耳を傾けて正しい知恵を身につけ、そして共に生きる人々の考えや思いに耳を傾けることが大切なのです。
 
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