ほんもんぶつりゅうしゅう
2021年08月17日
【佛立この人】 俳句コンクールで佳作特別賞に輝く 第5支庁清流寺 川邊 靖
飲料メーカー・伊藤園の主催する俳句コンクールで東京八王子・清流寺(住職・長谷川清泊師)所属の川邊靖さんが見事に佳作特別賞に輝かれました。川邊さんは、以前にも入選されており、今回で2回目だということです。
川邊さんは法灯相続3代目で、東京の私立明星学苑の教諭をされています。勤めの関係でなかなかお参詣はできませんが、毎月1度は必ず羽村別院の川邊家の墓前に参り、お墓のお掃除と、ご両親の好きだったお花を手向け、本堂で30分程、朝参詣し御題目をあげられてお帰りになります。
ご家庭でも朝夕のお看経は欠かさず、教師として学園、生徒の事を思い日々学ばれている川邊さん、非常に真面目で、几帳面なお方です。
以下、自註(自分で注釈すること)を紹介いたします。

 第1回 伊藤園新俳句大賞 佳作特別賞
【 墨痕に風あり月の光あり 】
 30代で眼疾を患って以来、毎晩少しずつですが『法華経』の写経を始めました。
 誰に習うともなく始めたことで、当初は書き慣れた万年筆で書いていました。それを当時のお講師から毛筆で書くことを薦められましたので、2巡目からは十数年ぶりに筆を握って、つたない文字で、おぼつかないままに写経をしていました。
 その日も写経を終え、疲れた眼を休めようと窓を開けると、涼しい風と一緒に初秋の月の光が差し込んできました。部屋の明かりを消し、机の上に広げてある原稿用紙を見ると、まだ乾いていない墨痕を、吹きわたる風がさっと一刷けしていくように、文字に揺らめきが走ります。と・・・・。
 次の瞬間、まだ滴るような墨痕が残る文字のあちらこちらで金箔が煌めくように、微かに月の光が跳ねたのでした。