ほんもんぶつりゅうしゅう
2020年04月01日
海外弘通だより ~スリランカ研修① 15日間の研修ご奉公を実現して さすが仏教の国 喜んで聞く姿勢に感動
この原稿を書いている3月初旬、韓国では新型コロナウイルス感染者が毎日、多数出ている。(3月5日現在、感染者5,766人、死者35人)
このため、世界各国で韓国人の入国禁止や入国後に14日間隔離されるという事態になっている。せっかく得られた機会であるこの度のスリランカ教区研修も、日程が少しずれていたらご奉公できなかったであろう。これだけでも大きなご利益をいただいた。
「何とかしなきゃ…」韓国の弘通状況について常に思ってはいたが、何をどこからどうしたらいいのか分からず、不安と焦りが頂点に達した昨年の夏頃、長松清潤海外部長より、スリランカ、インド、ネパール佛立宗の研修を勧められた。
1人でご奉公させていただいていることもあり、長期間お寺を空けることに心配もあったが、ご信者方の賛同と協力を得て、2月8日の夜ソウルを発ち、9日から23日まで、15日間のスリランカ研修ご奉公を実現させていただけた。
課題を抱えての旅でもあり、当初は日常から離れた解放感を感じる余裕もなかったが「たくさんある難しい問題はいったん横に置いて、大随喜を体験していただきたい。その随喜心があればほとんどの問題が小さく感じられるし、突破口にもなるはず」との海外部長からの有難い激励の言葉を受けて、喜びと感動を感じることに集中させていただくことにした。

◎素晴らしい仏教の国スリランカ
仏教の国らしくコロンボ空港で最初に目に入ったのは釈尊の仏像であり、朝5時頃の空港待合室のテレビから聞こえてくるのは、僧侶の経を読む音であった。この読経の音は毎朝コロンボ別院でも聞こえていた。至るところに仏像や塔が見られるのが仏教の国であることを実感させる。
福岡御導師は「スリランカは世界で1番動物と植物の種類が多く残っている国だ」と教えて下さった。それほどスリランカ人は仏教第1番目の戒律である不殺生、生命尊重を実践しているし、自然を大事にする。というよりも、共に生きているように思われる。
ゴールという親会場がある場所は自然を残したまま町を作っているので森林が豊富だし、山奥に住んでいる方達も多く、訪問させていただいたご信者の中にも山の麓で大自然を庭にして暮らしている方が多くいらっしゃった。当然、自然の中にはいろんな虫や昆虫も共存しているが、むやみに殺したりはしない。ハエも例外ではなく、そのためご供養をいただく時にハエを払う手が忙しい。
仏教の国だけあって、ご供養と教えを聞くという心を持っている方々が多い事が印象的だった。上座部仏教と言われるスリランカ仏教では僧侶を招いてご供養をさせていただくことが功徳を積む修行と教えられるので、みんな喜んでご供養をなさるという。
小僧も滞在中21件のご信者宅にてお助行、ご回向、御本尊奉安のご奉公を見学させていただいたが、席毎に立派なご供養を施してくださった。1日で4~5席の日もあったが、志厚いご供養に大変感動させていただいた。朝早くお寺を出てご信者宅で朝食をご供養いただき、夜8時頃お助行させていただき夕食のご供養をいただいて帰山する、というスタイルはスリランカでのみ体験できるご奉公であろう。
もう1つの感動は、スリランカのご信者の、喜んで聞いて下さる姿勢である。毎席ご供養をいただくので、せめての法施のつもりでお話しをさせていただくと、みんな喜んで聞いて下さる。(もちろんディリーパ良潤師とハシャーン清嵐師の素晴らしいシンハラ語通訳のお陰であるが)
ご信者宅へお参りさせていただくと、どこの席でも近隣や親戚の方が来られてお参りしたり、手伝ったりしている。もちろん宗外者である。ご供養が終わると、良潤師のお父様であるアベイ氏がその方々を集めて佛立宗のご信心についてお話しされる。みんなが参加して真剣に聞かれる姿を見て、本当に感動した。
スリランカでは一般の方でも仏様の教えを聞こうとする心を持っている人が多いという。また、日本に対して悪い感情がないので、日本から渡ってきた仏教と言っても、1つの宗派と思ってくれるという。もちろん最初のうちは大変なご苦労があっただろうし、今も入信はするけれども長く続かないのが育成の課題だとか。
この「教化ミーティング」は、アベイ氏だけがされているそうである。アベイ氏は今まで25年間で約1,800名を教化しているが、そのうち約30%が教化ミーティングで成就できたという。本当に素晴らしい。(韓国・鶴松寺住職 姜蕙昌師)