ほんもんぶつりゅうしゅう
2022年01月01日
講有巡教 高祖会 慶讃法要を奉修 オンライン配信でご奉公の奉告言上を
第9支庁・四国布教区丸亀本門寺(住職・小野山淳鷲師)では昨年11月14日、講有日良上人をお迎えし、高祖会併せて高祖ご降誕800年慶讃法要を「講有巡教」として奉修した。当初は前年(令和2年)に奉修される予定であったが、新型コロナの感染拡大を受けて全宗的にご巡教の延期措置が講じられ、1年越しの奉修となった。
しかしながら、未だコロナ禍中にあり、感染拡大への対応は簡単ではなかった。従来の慣行に倣(なら)えば布教区管内12ヵ寺の教講が県境を越えて参集することになり、且つ本堂で参詣者が密となることは不可避である。一方、現行制度下では48年に1度の講有巡教である。
感染状況の予測は容易ではなく、いわゆる「第5波」の中にあって、判断の期限が迫り、結果、同寺は県境を跨がない参詣のみを受け入れることとし、他県に所在する寺院の教講は各自寺院に参集して、インターネットを通じて中継配信するよう計画を変更した。
この判断を後押ししたのは、同布教区が本年度推進するコロナ禍ならではの取り組みである。同布教区ではコロナ禍の影響で前年(令和2年)度、ほぼすべての行事が開催できず、ご信者の交流が途絶えた。外からの刺激がなく寺院の枠に籠もってしまう状況を危惧し、打開策の1つとして本年2月から始めたのが「布教区オンライン交流」である。
毎月最終土曜日の朝8時から約30分、管内寺院をインターネット会議システムでつなぎ、当番寺院のご信者がご利益談やご奉公談を語るのである。当初は接続や操作にもたつく場面も散見されたが、徐々に慣れ、今では概(おおむ)ねスムーズに進行される。
さらに、オンライン交流への参加寺院を増やすとともに、布教区運営の効率化をめざして会議や連絡等をオンラインでできるよう、人的及び財的な支援が行われている。コロナ禍で活動停止を余儀なくされた昨年度の余剰金を財源に、宗門の制度とは別に、寺院におけるインターネット環境の整備や充実に関する技術サポートと支援金、そして回線使用料など環境の維持管理に要する費用を一部補助する制度を創設、運用している。
これによって現在、管内12ヵ寺中、9ヵ寺がオンラインに対応できる。この度の講有巡教においても中継配信を通じて講有上人の御法門を聴聞させていただくことができ、さらに御法門前には管内全寺院の御住職から講有上人に対し、高祖ご降誕800年慶讃ご奉公の奉告を言上させていただくことができた。
従来は各寺院の代表参詣という限定的なものであったが、今回は結果的に325名のご信者が講有巡教をまのあたりにし、ご教導を拝受することができたのである。
先行きは不透明であるが、コロナ禍とコロナ後を踏まえて弘通態勢を整え、疑迷に充ち満ちた世にともしびを、不安と苦悩に苛(さいな)まれる人にやすらぎを届けるべく、ご弘通ご奉公への決意を新たにした次第である。