ほんもんぶつりゅうしゅう
2016年09月01日
ブラジル教区「宗教自由パレード」に参加して佛立宗を広くアピールし下種結縁
世間では無宗教と表現される日本。しかし視野を世界まで広げてみると、宗教的迫害や宗教戦争が後を絶たないことがわかる。宗教の相違から解雇されたり、強制改宗を求めたり、酷いものでは虐殺される事もある。宗教同士の争いになれば、大勢の人々が無駄な死を迎えることになる。人を幸せにするはずの宗教が、人々を地獄へ落とす。

 そんな中、我々仏教徒が誇れる事。それは歴史上、宗教戦争をしていないという事である。宗教とは人がより良く生きる為のもの。少なくとも仏教は、人がより良く平等に生きる為の教えである。

 世界で宗教による問題が沢山起こる中、2015年9月20日、リオデジャネイロのコパカバーナビーチで毎年行われている宗教自由パレードに参加させていただいた。このパレードは宗教の自由と世界平和を訴えるもので、2008年に始まり今回で8回目。佛立宗は仏教を代表して参加している。世界中の宗教がパレードに参加して、宗教の自由と世界平和を呼びかけている。

 ブラジルは宗教の自由が法律で与えられているものの、社会を覗いてみれば宗教の相違によって面接を受けられなかったり、後に宗教の相違が発覚し解雇されたり、信者への虐めや、信仰の行われる聖地への圧砕。またその問題に対して警察などの公共機関の無視。その他、諸々の宗教的迫害の問題がある。

 ブラジルの宗教問題の歴史は、主にカトリック教徒であるポルトガル人の侵出によって原住民のインディアンが奴隷と化し、強制改宗させられたところに遡る。アフリカ系の人々も同様の仕打ちを受け、今なおそのなごりが残っている。

 宗教自由パレードの契機は、奴隷化されたアフリカ系の人々が本来の信仰を行う為にキリスト系の信仰と偽り、ブラジルで生まれたウンバンダ教やカンドンブレ教の人々が同様の仕打ちを受けてきたことを世間に訴えかける為に、協力し合ったことに始まる。回を重ねる毎に大きくなり、数々の報道機関で取り上げられるようになった信教自由パレード。佛立宗のパレード参加のきっかけは、手紙で入信を申し込んできたアントニオ・ホシャさん(リオ在住の宗教学者)がパレードの委員会に入っていて、佛立宗を紹介していただいたことにある。

 そして佛立宗が参加を始めたのは2011年の第4回大会から。その時は20数名の参加であった。3年前の第6回大会には、およそ18万人もの大観衆の中、全伯の教務・信者・青年会合わせて200人以上が参加した。お衣にお袈裟、手にはそれぞれ重さ8キロはあろうかという大きなお数珠を持ち、佛丸と南無妙法蓮華経の旗を掲げ、テレビ局や新聞社を通して、本門佛立宗をアピールする事ができた。

 キリスト教が根付き、仏教がまだまだ浸透していないブラジル。一般民衆の仏教に対する認識はまだ低い。パレードを通して仏教を知ってもらい、御法様に近づけようとするブラジル教区の志に魅了された。特に印象深かったのは、コレイア御導師が大勢の観衆に向けた力強い講演であった。最後に「南無妙法蓮華経」と下種されたのである。宗教自由パレードに参加した大勢の観衆は、南無妙法蓮華経の声を聞いたという結縁によって、必ず御法様に救われる道が示されたのだ。この下種の場面に立ち会って歓喜の思いでいっぱいとなった。
「一天四海皆帰妙法 南無妙法蓮華経」

(日教寺・山田随伯 記)