ほんもんぶつりゅうしゅう
2021年05月01日
第2支庁鶴松寺に保育園児がご参詣  昨年の御礼にと大根を持ってきてくれました
第2支庁・南大阪布教区の鶴松寺は南河内・藤井寺市にあります。藤井寺市になる前は南河内郡美(み)陵(ささぎ)町(ちょう)と言われていたように、沢山の古墳がある町です。これら古市古墳群と堺市の百舌鳥古墳群が2019年7月に世界遺産に認定されたことはご存知の通りです。
鶴松寺のある場所も、古代に土師器(はじき)を焼いていた土師氏の集落跡があり、本堂から南に見える位置にある三塚古墳から、昭和53年に「修羅」が出土して大きな話題となりました。そしてこの度のお話は、その三塚古墳のすぐ南にある保育所から電話があった所から始まります。
園長先生から、「鶴松寺の和尚さんが毎日どのようなお仕事(ご奉公)をしているのか、お話を聞かせていただけませんか?」とお電話があり、御導師からの快諾を得、お受けすることとなりました。
そして数日後、地元の保育園の小さくてかわいいご参詣者を楽しみに待っていたのですが、境内に入ってくるなり、何人かの子供が泣いているのです。
先生にお話を聞くと、お寺に来る前に保育所で絵本を読んであげたのですが、その絵本が「山から下りてきた『やまんば』が子供を連れさらい、それをお寺の和尚さんが助ける」といった内容だったそうで、それを聞いた御講師が「やまんばが来ないように、みんなでまんまんちゃんにお願いしましょう」とお話をしてから、みんなでお看経をして、薫化会の紙芝居を見て、御導師のお話を聞きました。
その頃には落ち着いた子供たちは、お寺の事を御導師に質問するほどになり、また法鼓にも触れて、笑顔で帰ってゆきました。
そしてそれから1年が経った頃、園長先生から再びお参りしたいと連絡があり、本年1月20日、園児たちが再びご参詣してくれることとなりました。今回も楽しみに待っていたところ、境内に入ってくる子供たちが、見るからに大きく重そうな大根を頑張って運んできてくれているのです。
先生にお話を聞きますと、昨年、園児たちが自ら種まきをし、水やりや間引きをしたりとお世話をしていた大根が育ったので、ご近所に配ろうとお話をしたところ、すぐさま園児たちが「あの時助けてくれた和尚さんに大根を持っていきたい」と言ってきたとのことでした。先生は驚きと園児の優しさに感動され、再び鶴松寺にご参詣する事になったのです。
そして1年前に泣いていたのが嘘のようにたくましく成長した園児たちから、育てた大根とお世話をしていた時に描いた絵を、一人一人、御導師に手渡しされ、御導師からも園児に御礼のハンカチが贈られました。
新型コロナウイルス感染拡大の早期終息をご祈願する日々、視界の晴れない日々が続きますが、たくましく、素直正直に成長する園児たちの優しい心根が生んだこのエピソードは、鶴松寺の寺報でも紹介させていただき、また、ロビーに掲示した園児たちの絵を通して、鶴松寺の信徒に伝わり、多くの笑顔とエネルギーをいただくこととなりました。
藤井寺市には葛井寺(ふじいでら)、道明寺といった古くからのお寺がいくつもありますが、その中で鶴松寺に来ていただけたことは、大変有り難くとても大切なことです。これからも地域に根ざしたお寺であり続けるように、創意工夫をこらしていかねばと、改めて考えさせられた出来事でした。(鶴松寺一同)