ほんもんぶつりゅうしゅう
2020年04月01日
SDGsへの取り組み④ 私の一歩、一言が世界を変えていく
前回、SDGsとして掲げられた17のゴール(目標)は、各々別個のものではなく相互に関連していると記しました。今回はこのことについてもう少し詳しく触れたいと思います。
 

17のゴールの相互に関連する性質を表現するのにお誂え向きな言葉があります。
「風が吹けば桶屋が儲かる」―― 風が吹くと土ぼこりが立つ。それが目に入り、目を悪くする人が増える。その昔、目の不自由な人は三味線を奏でて生計を立てることが多かったため、三味線がたくさん必要になり、皮を使うために野良猫が減る。天敵が減ったためにネズミが増え、増えたネズミが風呂桶をかじるので、桶屋が儲かる。
つまり、ある事象が起きると、それによって思わぬ人やもの、場所や物事にまで影響することを意味しています。


たとえば、スーパーやコンビニに並べられ、誰しも1度は口にしたことがあるであろう「安価なスナック菓子」。それには概(おおむ)ねパーム油(「植物油脂」とも表記)が使用されています。パーム油の原料となるアブラヤシは大規模農園で栽培されることから、自ずと広範に及ぶ熱帯林の伐採を要します。
結果、温室効果ガスを増やすことになり、生態系を破壊したり気候変動を起こしたりしているのです。つまり、私たちが安いスナック菓子を買って食べることが、地球温暖化につながっているわけです。
ただし、パーム油は熱に強くて酸化しにくく、石鹸や洗剤など用途が幅広く、バイオディーゼルの燃料にもなるため、とても重宝されており、一概に「悪いもの」とは断定できません。
ここではパーム油の評価ではなく、私たちの日常における何気ないことも、実は地球レベルの課題につながっていることを知っていただきたいのです。


このことを、仏教では「縁起」といいます。この世のものは、どれ一つ、だれ一人、単独で存在しているものはなく、すべてはつながっていて、関係のないものなど何一つないということ。
言い換えれば、私の一歩、私の一言で、世界を変えることができるということ。私のすることに無意味なもの、無駄なことは一つもなく、すべては未来を作り出す素材ということです。
あなたも私も、そのような尊い可能性を担っていることを忘れず、思い、言葉、行動を大切にしましょう。
それがSDGs―― 未来の扉を開く第一歩なのです。