ほんもんぶつりゅうしゅう
2016年07月18日
次期講有の推戴を受けて(高須日良 師) —御題目口唱におすがりする信心で、捨身決定の覚悟で御奉公に臨む—
このたび講有推戴会議の決定により、次期講有・本山宥清寺住職に推され、7月2日に第25世講有山内日開上人より開導聖人の御遺嘱を伝承させていただくこととなりました。小職のような浅学非才、罪障の深い身の上でありながら、その任をまっとうできるものであるのか不安ばかりであります。しかしながら、現御講有上人より次期講有としての使命を頂戴したことは、まさしく御宝前の思し召しと受け止めさせていただき、捨身決定の覚悟でご奉公させていただく所存です。そのためには御宝前のご冥加を請い願いつつ、幸いにも梶本日裔上人、小山日誠上人、山内日開上人と三講尊上人がご健在でありますので、そのご指導を仰ぎながら、さらには大先輩の御導師方のご教導、宗内教講各位のご協力を給わらんことを衷心より御願い申し上げる次第です。

 時恰も開導聖人ご生誕200年のご正当を翌年に控え、「佛立開化運動」の慶讃ご奉公も正念場であります。そして、いよいよ10月からは順次に慶讃大法要が本山宥清寺でお勤まりになります。この慶讃ご奉公の功徳でご利益感得をされたご信者が本山へ御礼参詣をされ、本堂で悦びの御題目口唱の音声で満ち溢れることを期待してやみません。そのために、全宗門人が誓願達成を目指して、さらなる信心改良、信心増進をこころがけ、異体同心でご奉公させていただくことが大事です。

 さて、去る4月には熊本を中心とする九州地方に大地震が起こり、甚大な被害が発生しました。犠牲となられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された人々が一日も早く平穏な生活を取り戻されることを祈念いたします。宗内におきましてもこの地震により第10支庁管内の寺院やご信者が被災し、私もその一人でありました。地震直後は、まさにこの世とは思えない、いつ終わるとも知れない大きく長いゆれがいつまでも続き、電気ガス水道が不通となり、揺れが収まらぬうちに大勢のご信者や近隣の住民がお寺へと避難してこられ、不安の中に夜を明かしました。幸いに被害の少なかった寺内の会館に御本尊を奉安し、朝参詣をお勤めすることができました。非常時の混乱のなかでも御題目口唱によって、ひとときでも心の安らぎを得ることができたことは、ご信者冥利に尽きるものだと随喜いたしました。

 なお、さっそく地震当日より、宗門内外より人的支援、支援物資の搬入、お見舞い等をいただくことができたことは、御題目のご縁によってつながっていることのありがたさを実感するものであり、心より感謝申し上げる次第です。それより一月半が経過した現在でも、まだ避難所生活をされている方、また収まらぬ余震の影響で不安な毎日を過ごしておられる方、自宅の復旧がままならない方など、元通りの生活に戻ることにはまだまだ時間がかかるものと思われますが、地震の早期終息と復興を御宝前にご祈願させていただく次第です。

 高祖大士は『立正安国論』で「旅客来りて嘆いて曰く 近年より近日に至るまで天変地夭・飢饉疫癘・遍く天下に満ちて広く地上に迸る」と仰せられた如く、近年でも東日本大震災はじめ今回の熊本地震と自然災害による予期せぬ災害が年々発生する末法の様相を呈する今の世の中にあって、本当にその救いとなるのは『如説修行抄』で「万民一同に南無妙法蓮華経と唱へ奉つらば、(乃至)今生には不祥の災難を払ひ(乃至)現世安穏の証文疑ひ有るべからざる者也」とご教導いただくように、御題目口唱の信心しかないのです。

 この祖訓を体して、縁ある一人ひとりを上行所伝の御題目のご信心に帰妙せしむることがお互いの努めであります。そのためにも、佛立教講一同は、上行の流類たる佛立菩薩との使命をいよいよ強く自覚し、教化折伏のご奉公に励ませていただくことをお誓いさせていただかなくてはなりません。
誰もが不安なく安心して暮らすことのできる平和な世界、浄佛国土が必ず実現できることを願い御開講なされたのが、この本門佛立宗にほかなりません。開導聖人が闡明になされた法華経本門のご信心の肝要たる口唱折伏経力現証によって世を救うご遺志を次世代に伝えるために、いま私のできることは開導聖人の魂魄まします本山宥清寺御宝前にて、とにかく御題目口唱におすがりする信心だと思い定め、信心の一大改良をお誓い申し上げてご挨拶といたします。