ほんもんぶつりゅうしゅう
2021年05月01日
研究発表大会を開催する 杉山文野氏を招きLGBTQについて学ぶ
去る3月23日、佛立教育専門学校と佛立研究所共催の「第30回研究発表大会」が、宗務本庁3階宗会議場にて開催され、午前10時40分より玄題三唱、小西日演宗務総長・亀井日魁学校長の挨拶、修学塾教員委嘱状交付と続き、講有上人より御訓示を賜った。
その後、特別講演に入る予定であったが、今回の研究発表テーマとの関連性から特別講演を間に挟んでLGBTQについての研究発表を3師が行い、引き続いてパネルディスカッションを行うこととなった。
 まず研究発表が行われ、
①「海外教区におけるLGBTQの現況から学ぶ」研究員 川手信敬師
続いて特別講演に移った。

杉山文野氏の特別講演
 今回は、フェンシング元女子日本代表でトランスジェンダーの杉山文野氏より「はじめてのLGBTQ~性の多様性と人権」と題して特別講演をいただいた。
杉山文野氏は1981年、東京都生まれ。フェンシング元女子日本代表(高校時)、早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、2年間バックパッカーとして世界約50ヵ国と南極を巡り、様々な社会問題と向き合い、帰国後は日本最大のLGBTプライドパレードである特定非営利活動法人・東京レインボープライド共同代表理事や日本初となる渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員を務め、現在は父として子育てにも奮闘中である。
 この日の講演では、杉山氏ご自身がトランスジェンダー(出生時と異なる性別を自認する人々)としての葛藤や苦悩を乗り越え、多様な性への理解・認識を広める活動や実績を通して、性的マイノリティとされるLGBTQが正しく認められる社会となるよう、日本、世界全体においての現状を踏まえつつ問題提起等なされた。
 世界でのLGBTQの出現率は5~8%とされ、認識を広める活動を行う世界的有名企業の取り組みや、すでに国として取り組みが進んでいる世界各国の実情が紹介された。性的指向に関する法律がいまだ制定には至っていない日本は、自治体レベルでは条例により取り組みが進められているといい、政府としても文科省や厚労省等でようやく取り組む兆しが出てきているという。
 講演後、再び研究発表へと移り、
②「LGBTQについての教学的アプローチ~提婆品『変成男子』と日蓮聖人『旃陀羅宣言』からの一考察~」 副所長 局 良鳳師
昼食休憩をはさんで、
③「寺院のLGBTQへの取り組みについての一考察」弘通主任 石岡日敬師
引き続き、パネルディスカッションが行われた。

パネルディスカッション
 研究所副所長・局良鳳師の司会進行により、特別講演の講師・杉山文野氏、佛立研究所客員研究員・福本清容師、研究発表者の川手信敬師、石岡日敬師をパネラーとして、当日発表された内容を元にLGBTQの諸問題について議論が交わされ、石岡日敬師、川手信敬師のご自坊、札幌信廣寺、三郷尚立寺で、それぞれ「LGBTQの結婚式も挙げることができます」との具体的な提案もなされるなど大いに盛り上がった。
 パネルディスカッションに引き続き、次の研究発表が行われた。
④「人口減少と高齢化社会における弘通方策~過疎地域・人口減少地域・人口増加地域 23ヵ寺の訪問調査~」研究員 川野辺裕幸氏
⑤「当宗における呵責謗法の在り方について~本門流通不軽行相からの一考察~」
研究員 前島日力師
⑥「日忠上人『開迹顕本妙法蓮華経直談抄』の一考察~直談とは~」学校 田村正行師
 最後に佛立研究所所長岡居日実師の閉会の辞をもって、この日の研究発表大会が無事に終了した。
 なお、今回は新型コロナ感染拡大防止対策のため、修学塾教員研修会参加者以外の教務・一般の当日参加にはZOOMを利用したリモート形式が取られた。主に国内の寺院23会場(うちブラジルが3会場)にて、午前11時の研究発表から閉会まで、それぞれリモートでの参加となった。