ほんもんぶつりゅうしゅう
2017年07月01日
海外弘通だより~ブラジル編 日ポ・佛立御教歌要集 発刊! ご生誕200年記念として20年の苦労実る
1998年にブラジルでは、正式に伯国佛立翻訳グループが結成されました。総責任者、グループ長は常にブラジル教区長。委員長の他、日本で留学をして佛立教育専門学校を卒業した住職や日ポ両語学に通暁したご信者や大学の先生が、それぞれ委員となってスタートしたグループです。
それまでは、適宜、必要に応じて集まって作業していたのですが、元派遣教務、そして当時はブラジル担当員であった青木日斯導師のお勧めで結成直後から御教歌に取りかかるようになりました。
これは大変な作業になるとも思わずに始め、すればするほど困難にぶつかってきましたが、訂正を加えながらも自然に統一用語集ができていき、十年経ってから作業がスムーズになりはじめ、形が整っていきました。
また、その間にありがたくも宗門から数多くの参考資料が出版され、特に佛立事典や光薫寺の小林日元導師のご指導もいただき、御教歌現代語訳集に助けられ、また、直接、丸山日印上人の大変なご指導をいただき、あるいは、研究所発行の福岡日雙導師の英文訳の御教歌等を参考にしながら事業を進めることができてまいりました。
訳文は四行の詩文形式で(上の句二行、下の句二行)韻や音を踏まえつつ、精一杯、逐語訳式に則しました。また、ポ語から逆に訳した場合は、どれだけもとの日本語に戻せるかということにも注意を払いました。考えて見ればおこがましいことこの上ない企画でしたが、先師上人の念願や将来のことを思い、ブラジル佛立宗の一つの目標として始めさせていただいたものです。
例えば一番目の御教歌は、上欄のような形式になります。
現在は、非公式でも、基本として御法門の時は必ず最初に日本語の御教歌を教務が伝統通りに拝読し、再拝は、ローマ字で皆さんが復唱してからポルトガル語訳の拝読とその復唱をさせていただいております。
特に試み始めた頃は、いろんな方々に、そんなことができるのかといわれましたので、ブラジル中の専門家、名翻訳家に依頼をしてみましたが、どなたも「それは専門外だから受けつけられません」と、一言のもとに断られました。
従いまして、非力ながら注意深く訳しても決定版にはせず、どなたかに適切なご指導をいただけばいつでも訂正ができる形にして、何回も何回も全員で校正をかねてきております。
翻訳という作業は、何語からでもできるものですが、パラナ州国立大学言語学教授、フアラコ氏によると「日本語からというのが一番難しい」と言われます。世界で最も難しいとされている言語は、梵語、日本語とポルトガル語だからだそうです。しかし、だからこそいいとも思えたのです。
ポルトガル語は日本語のように漢語、古語、佛教語、敬語、尊敬語、謙譲語や外来語等があるわけではありませんが、ラテン語を母語とする言語では同じく最も複雑な言語だとされています。何万とある名詞や形容詞等を除いても、一つの動詞だけでも常に68通りに活用できるようになっています。
いわゆる完全な翻訳は事実上不可能であっても、最大限に近づけられる言語であるからこそ挑戦できてきたとも思えます。しかも、佛教界で最も早くブラジル弘通をなしとげた佛立宗、ブラジルにはその責務がありましょう。
「日ポ・佛立御教歌要集」のタイトルは、ブラジル佛立弘通発祥の寺院清雄寺の小山御講尊から頂戴いたしました。そして、記念出版は本年の高須御講有ご巡教時にブラジル高崎教区長ご指導のもと、させていただく予定です。選首は全部で約1,800首になり、田中日晨上人の御法門のかなめ等を参考にさせていただきながら勧めて参りまいりました。
近い将来、ブラジル教講がポ語でも、本門のみ教えを口ずさむようになれば佛立仏教文化がさらにひろまる。その上、開導日扇聖人にお喜びいただけ、茨木日水上人の一つの念願も達成させていただけるというものです。
特に、手がけてから20年目という年が日扇聖人のご生誕200年と重なることは偶然ではなく、知らず知らず大切な記念事業を始めさせていただいたと思え、報恩感謝の気持ちが膨らみます。口唱信行と教化折伏の一助にもなれば幸甚です。
このように1998年から始まった事業ですが、ありがたくも20年目にして、ちょうど日扇聖人のご生誕200年に、ぴったり当たりましたので、記念出版ということになりました。
要集はすでにできていますが、6~7月までに諸々の訂正を加え、後に講有上人のお言葉もいただいて印刷へ出す予定です。初版なので先ずは1,500部を予定しています。
そして、一冊目を御宝前にお供えし、来る10月29日に日教寺で、講有上人にお勤めいただく日扇聖人のご生誕200年大法要にて献上させていただく予定です。